天気図マメ知識、低気圧のオプションいろいろ

お天気講座

ここ数日、いまいち興味をひく天気に出会わなかったんでツイートは休んでのんびり天気図の話を。
まぁトリビア程度のネタですが天気図を見る楽しみがちょっとくらい増えるかも。

こちら昨日(2021年2月12日 3時)の天気図。
この中に様々な低気圧のオプションがあったんでご紹介します。

まず、いたって普通の低気圧。
天気図の中には特におまけのマークはなく、無印の低気圧。

次に、[GW]のスタンプが付いてる低気圧。
これはGALE WARNINGの略で、海上強風警報の意味。
最大風速34ノット以上48ノット未満の強風をもたらす低気圧の証です。

GW級の低気圧と似てるようでちょっと違うのがこちらの低気圧。

何が違うか分るでしょうか?

実はこの低気圧は“GWもどき”。
低気圧の中心付近の等圧線の間隔はゆるゆる。
低気圧自身がGW級の勢力があるわけではなく、北にある高気圧との間で気圧の傾きが大きくなって風が吹いてるだけ。
低気圧本体じゃなくて、~~で囲われた領域でGW級の風が吹いてますよ、ってな解析(解釈)になってます。

さらにはこんな変わり種のGWも。

日本のずっと東、いかにも発達した大きな低気圧。
でも、この低気圧も低気圧本体ではなくて領域に対してGWが設定されてるタイプ。

低気圧中心のすぐ近くにこんなに広いGW領域。
だったら低気圧にGWを設定すればいいのに・・・と言いたいとこだけど、こうなってるのは理由がある。

ヒントは6時間前の天気図に。

6時間前にはGWもよりもさらに強い、SW級の低気圧として解析。
SWってのはSTORM WARNINGの略で、最大風速48ノット以上の強風をもたらす海上暴風警報の証です。

それがなんで“GWもどき”になってしまったかというと、低気圧の位置がポイント。

日本の天気図解析(≒海上警報)の責任領域は東経180度まで。
東経180度を超えた先にある低気圧に対しては、直接GWやSWを設定できないってな縛りがあります。
だから東経180度より手前側で、強い風が吹いてる領域にGWを設定したってわけ。

この辺の東経180度を跨ぐ低気圧の扱いについては、西経域から東進してくる台風なんかでもたまに問題になったりします。
ハリケーンから台風へ@テンキノススメ

ちなみにSW級になった低気圧は、天気図の中に位置や勢力について直接書いてもらえる特別待遇。
天気図を見るのに邪魔にならないよう、低気圧と離れたとこに書いてることもあるんで周りを探してみてください。

最後に、少し前の天気図から変わり種のGWをもうひとつ。
2021年2月10日 15時。

まだ低気圧の姿はないけどNew L(EXPECTED)も文字と共に[GW]のマーク。

これは、まだ発生してないけどもうすぐ発生する&発達してGW級の勢力になりますよ、を示してるマーク。

6時間後の天気図では予定通り低気圧が発生。
この低気圧に直接GWのマークがつきました。

こんな感じで、低気圧に様々なオプションがついてるアジア領域の天気図。
たまには日本付近だけでなく広い目で天気図を眺めてみると面白かったりするんで気が向いたらどうぞ。

…といいつつ、これから数日は日本付近の天気図&天気が面白そう。
前線や低気圧の位置関係がちょっと珍しい形になってる2月15日の予想天気図。

日本海の前線&低気圧の絡み方や、南から急発達しながら一気に北上する低気圧の動向から目が離せない。

15~18日にかけて、全国的に春→冬の強烈な揺さぶりによる荒天となりそう。
湿った大雪や融雪といった春のイベントから一気に真冬に引き戻されるこの1週間。
今後の情報にご注意を。

最後に、今回使った天気図をまとめて載せときます。

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