関東、いちよ梅雨明けです

すでにニュース等で取り上げられてる通り、関東甲信地方の梅雨明けが今日(7/28)発表されました。
梅雨の時期に関する関東甲信地方気象情報 第2号

でも、今日の関東は結構雲が多いし、週間予報も曇りマーク多め。なんか夏!ってかんじじゃないなぁ。
そんな感じです。

そのことはもちろん気象庁は百も承知で、↑の気象情報の中にはこの記述。

【向こう一週間は、上空の寒気の影響でにわか雨や雷雨となる所もありますが、期間の前半を中心に高気圧に覆われて晴れて気温の上がる日が多い見込みです。】

これをゆるゆると解説するならこんな感じです。

【ぐずぐず、だらだらした天気はとりあえずここで一段落。スッキリ夏空って雰囲気じゃないけど、それなりに晴れる&平年並には暑い日が多くなりますよ。】

今日発表の1ヶ月予報@関東甲信でも、これからそこそこ暑くなりそうって予報が出てるので〝ほどほどの夏〟を楽しみましょう。

ちなみに、予報を考えてて今週の天気の崩れが上空の寒気だけですめばありがたいなぁ、というのが今の想い。
日本のずっと南の海で固まってる元気な雲域。
これが熱帯低気圧としてまとまりながらゆっくり北に上がってくる予想です。
まだどのくらい影響がでるのかはハッキリしないけど、念のため今週末~週明けの天気予報にはご注意を。
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天気図の「低」はなに?

いきなりクイズ。
昨日(7/22)の18時と21時の天気図で大きく変わったのはどこでしょう?

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正解は…太平洋にある「低」が「熱低」になりました!
(その上の小さな「低」も消えたけど、こっちは重要じゃないんでスルーで)

それでは続いて第2問。
「低」が「熱低」に変わった、その意味は?

えーと、「低」は普通の低気圧(温帯低気圧)、「熱低」 は熱帯低気圧だから…低気圧が熱帯低気圧に変わった!

と思った人がひとりでもいてくれれば今回のネタを書いた意味ありです。

18時の「低」をよく見ると、低気圧にはあるはずの何かが足りません。
それは、低気圧の中心を示す「×」です。

今回の「低」、実は低気圧ではなく「低圧部」を示すマークでした。
周りに比べて気圧が低いし雲もしっかりある。でも中心がハッキリしない…な時に登場するのが低圧部。
見分けるポイントは中心「×」があるかどうかです。

というわけで、今回のクイズの正解は
「モヤモヤしてた低圧部の中心がハッキリして熱帯低気圧としてリニューアルした」
でした。

この熱帯低気圧、この先さらに発達して明日朝には台風になるかもという予報も出てきました。 台風情報@気象庁

もし台風になったとしてもまず日本に影響はない場所なので、安心して中心がどこか探してみてください。
発達初期の熱帯低気圧や台風の中心を決めるのは結構難しい作業です…。
気象庁の衛生画像だとかなり端っこ。
じっくり眺めるにはひまわりリアルタイムWebからどうぞ。
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梅雨前線がなくても梅雨?

今日(7/18)九州~東海地方が一気に梅雨明けしたということでまずは天気図衛星画像をチェック。
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梅雨前線は大陸~東シナ海までのみで日本付近からは姿を消し、西日本は広く好天になってます。
今日の中部山岳エリアは本当に天気がよかっただろうなと思うと羨ましいこと羨ましいこと…。
それはともかく、大陸の方に残っている梅雨前線も今後そんなに悪さをすることはなさそうということで西日本は梅雨明けになりました。

「梅雨前線がいなくなったなら関東も一緒に梅雨明けでいいじゃん」と言いたくなるけど、関東の梅雨明けはもう少しおあずけになりそう。
なぜかというと、気象庁は梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」と定義してて、そこに梅雨前線は必須じゃないってのがポイント。予報用語@気象庁より
関東の週間予報を見ると、今週は曇り主体、そして気温も控えめになってます。
その理由は予想天気図の中に。

fsas48_20160720-09明後日(7/20)は日本海に高気圧が進んで関東は高気圧の南の縁に位置する形で、これは北から湿った空気が流れ込んで天気がスッキリしないことが多いパターン。
さらにこの後にはひんやり&しっとりな空気を溜め込んだオホーツク海高気圧(青矢印)が南にせり出す予想もあって、「もうしばらく曇りの日が多く現れる状態が続きそう」というわけで梅雨明けは見送りになりました。

ただし、このオホーツク海高気圧の影響は東北地方の太平洋側~関東平野が中心で、長野や山梨といった標高の高いエリアへの影響は限定的。
中部山岳エリアはこれですっかり夏シーズンといってよさそうです。
(こちらも参考⇒オホーツク海高気圧と山の天気

これからの夏の山で怖いのは、やっぱり雷。
積乱雲がいつどこで発生するのかを精度よく予想外するのは気象の専門家でも非常に難しい上、もっとボンヤリした“発生しやすさ”の判断も地上天気図だけでは厳しいのが悩ましいところ。
まずは“山の行動は早め早め”の鉄則を守ること。
特にテレビやラジオの天気予報で「上空の寒気」「大気が不安定」といったキーワードが出てくるときは、できるだけ午前で行動を完了するか、いざ雷に遭遇したときの非難場所・行動を意識するように気をつけてください。

寒気の渦×気温上昇=猛烈に不安定!

昨日の7月14日はまさに『ザ・不安定』といった感じの1日。
上空に寒気が居座る中、午前中は広く晴れて気温が上昇。
するとあちこちで積乱雲がモクモクと発達、あちこちで猛烈な雷雨になりました。

衛星画像とレーダー画像を並べてみると、いかに天気の急変っぷりがすごかったかがよく分かります。
この日、山に登ってた人は「山の行動は早いうちに」を徹底してないとかなり怖い思いをしたんじゃないかなと。

【10時】まだスッキリvis_20160714-1000rad_20160714-1000

【12時】あちこちで積乱雲発生vis_20160714-1200rad_20160714-1200

【14時】積乱雲元気いっぱい、これは怖い!vis_20160714-1400rad_20160714-1400

あっという間に積乱雲が発達していく様子は細かい時間間隔や動画で見た方がよく分かるので、ぜひひまわり8号リアルタイムWebで確認してみてください。

ちなみに、今回の不安定の原因となった「上空の寒気」は、ただの寒気とは一味違う凄いやつ。
普段よくやってくる寒気は寒気の“波”で、来たと思ったらすんなり東に抜けてきます。
不安定が顕著なのも「上空の寒気×日中の気温上昇」が成立する昼過ぎから夕方くらいまでで、夜になって地上の気温が下がってくれば大人しくなるのがよくあるパターン。

ところが今回は寒気の“波”ではなく、寒気の“渦”としてやってきました。
上空の寒気を衛星画像から見るには普段よく使う可視画像赤外画像ではなく、水蒸気画像がオススメ。
14日の水蒸気画像を見ると、日本海にクルクルっとした渦があるのがよく分かります。(動画だとベスト)
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こういった大気の流れから切り離された“渦”は動きが遅い上、ただの“波”よりも影響力大。
14日夜から15日にかけて、各地で夜もお構いなしで激しい雨を降らせていきました。

今回みたいな上空の寒気が悪さをする日は、地上天気図だけで判断するのはちょっと困難。
上空の天気図である高層天気図で寒気の強さやタイミングを把握する必要があります。

じゃ、どうやって見るの?というのはお天気講座に整理したいなぁと思いつつ、全然進まず…。
高層天気図の使い方も含めて山に必要な気象スキルをどう整理しようかと考えてるけど、うまく考えがまとまらず。
そのうちじっくり時間をかけて整理するつもりなので、のんびりお待ちください。

大雨と雨の境目

少し前に書いた、梅雨の天気予報のハズレ方
またもや同じような事例があったので反省をこめて。

南関東に住んでる人で「昨日(7/9)大雨って言ってたのにあんまり降らなかったなぁ」と思った人も多いんじゃないでしょうか。
はい、まったくもってその通りです…。

今回の雨は、雨の元となる暖かく湿った空気(暖湿気)がどこまで北上するかが予想の肝。
関東にはこの暖湿気がしっかり流れ込み、内陸部でもまとまった雨になるとの予想でした。
・・・が、実際の天気図の経過がこちら。
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前線は性質の異なる空気の境目をあらわすもので、今回は南からの暖湿気の北限が前線です。
しっかり関東の内陸に入ると予想していたのに、実際には関東の沿岸をスルリと通過。
暖湿気&大雨はほとんど海上だけで終わってしまいました…。(赤い線より南側は結構な雨)
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大きな状況(暖湿気が来るよ、来たところでは大雨になるよ)は予想通りだったけど、どこまで入るかの予想が外れた。
その結果、大雨のはずが大したことない雨に。
さらにセットで風の強さや気温の予想も外してます(弱い&低かった)。

「あれ?雨の予報外れてない?」と思ったとき、レーダーで少し広く見ると“惜しいハズレ”だったかどうかわかるのでぜひお試しください。
予報がどう外れた・外れるのかを意識するようになると、天気予報との付き合い方はグッと上級者に近づいてきます。

関東の場合、今回みたいに沿岸部を通る南岸低気圧の時に「南風が入るはずだったのにっ!」は予報が外れるド定番のひとつ。
南岸低気圧が予想されてる時は、ホントに当たるかな?と少し意地悪な目で見てやってください。
そうすると天気予報を楽しめると思います。

さて、今日は昨日からガラッと状況が変わり本州は広く晴れています。
衛星画像を見ると、前線に対応する帯状の雲はずいぶんと南に下がり、本州はいい感じに雲の隙間に。
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この状況、明後日(7/12)の前半くらいにかけて続きそう。
気温があがる&上空には少しだけ寒気が入っているので、午後のにわか雨や雷を少しだけ気にしつつ好天を楽しんでください。
あぁ、ぼくも山に行きたかった…。
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台風ばかり見てちゃダメ

ふぅ、台風は台湾行ったか。
台湾に当たれば一気に衰弱するし、その後も大陸に入ればもう大丈夫。(台湾の人には申し訳ないけど…)

なんて思ってる人。
ちょっと待った!

台風が来るとき、熱帯生まれの暖かく湿った空気をたっぷりとお供につれてきます。
その空気が前線を刺激して台風と離れたところで大雨に・・・というのが定番だけど、今回はちょっと違うパターン。

今回台風が連れてきた空気がどこに行くかというと、東側を高気圧に邪魔され、奄美や九州目指してまっすぐ北上。
衛生画像を見るとその様子がよく分かります。
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そして明日(7/7)朝の予想天気図で九州の西に現れる低気圧。
これは熱帯の空気を元に育った、台風の分身とも言える低気圧です。
東側の高気圧がなかなか動かないもんだから、熱帯の空気&低気圧は西日本でのんびり。
そのせいで明日から明後日にかけて九州を中心にかなりまとまった雨になる予想。
西日本に警戒を呼びかける全般気象情報も発表されてます。
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台風が来たとき、台風の行き先だけを気にするのではなく台風の周りの大気の流れも意識するようにしてください。
すでに梅雨の大雨で大きな被害が出ている西日本。
さらなる被害が出ないことを祈ります・・・。

6月後半の梅雨前線による大雨のまとめ(速報)も気象庁サイトに掲載されてるので気になる方はどうぞ。

オホーツク海高気圧と山の天気

今日の天気図の見所は台風…ではなく、オホーツク海に中心をもつ高気圧。
三陸から関東に向って高気圧の足が南にのびてます。
“オホーツク海高気圧”は春から夏にかけて現れる、その名の通りオホーツク海に中心を持つ高気圧で、特徴はひんやり&しっとり。
オホーツク海高気圧が張り出す領域は低くてペッタリした雲に覆われ、気温も上がらず、時にはシトシト雨も。
こんな天気をもたらすオホーツク海高気圧からの北~東よりの風を、東北地方では「やませ」、関東では北東気流なんて呼んだりします。

そしてもうひとつ大きな特徴が、背が低い(厚みが薄い)ということ。
関東に流れ込んでくるときのヒンヤリした空気の厚みはせいぜい2kmくらい。
関東平野の西側の山を越えることはできず、関東はヒンヤリ曇り空、長野や山梨はアツアツ好天と対照的な天気になります。
今日も見事にそんな感じ。
ame-tem_20160705-1200ame-sun_20160705-1200vis_20160705-1200日本海にある前線の雲が混じって分かりにくいけど、赤線で囲ったくらいがオホーツク海高気圧による下層雲

登山にとってこの厚さ2kmというのはなんとも微妙な数字で、関東平野周りの山の標高を見ると、武尊山2158m、谷川岳1977m、赤城山1828m、榛名山1449m、甲武信ヶ岳2475m、丹沢山1567m。
1000台半ばの山じゃまず雲の下か中だけど、武尊山や谷川岳といった2000m級だとうまくいけば雲の上に出て壮大な雲海を眺めれるかも?甲武信ヶ岳ならまず大丈夫そう。そんな感じです。

今回は北東気流が比較的厚みがありそうな上に前線の雲も混じるのであまりいい条件じゃないけど
・関東が北海道~三陸沖に中心を持つ高気圧の縁になる
・関東の天気予報は曇り&気温低め、長野や山梨の予報は晴れ&気温高め
の条件が揃う日は、登山口がモヤモヤでも雲の上に抜ける期待を胸に登ってみてください。

ちなみに、そうやって登った2015/10/23の谷川岳。
山頂は惜しくもガスの中だったけど、新潟側(土樽側)に下ると滝雲を見ることができたんでまあ納得、そんな結果でした。
spas_20151023-0920151023tanigawa-2左が関東側、右が新潟側
20151023tanigawa-1茂倉新道から振り返った谷川岳。関東側の雲が新潟側にぎりぎりあふれ出てるのがよくわかる景色。

登る日の気象条件からどんな景色が見れるか予想する、というのも山の楽しみ方のひとつかと。
プランニングの際は、登山地図と一緒に天気図もお供にどうぞ。