「警報級の可能性」はじめました

今日(5月17日)の昼に、気象庁の警報&注意報の表示がリニューアル。

今まではこんな感じでテキスト情報だけだったところに…
内容を視覚的にわかりやすくした「危険度を色分けした時系列」、そして新製品である「警報級の可能性」が追加! 警報&注意報のページから都道府県→市町村と掘り下げていくと見ることができます。
といっても、今日は全国的に天気がいいのであまり見栄えする実例がないです。そのうち差替えよっと…。

これじゃあまり説明にならないので、去年(2016年5月)に「こんなのはじめます」と発表した資料から説明を拝借。
【報道発表資料】「警報級の可能性」など新しい気象情報の提供に向けて@気象庁

「危険度を色分けした時系列」は見たまんまの資料。
今まで表示していた内容はそのまま、ぱっと見やすく図表化したものです。

一方、まったくの新製品なのがこちらの「警報級の可能性」。

いままで注意報や警報は基本的にON/OFF情報。でも、「発表に踏み切るほどしないけど何か怪しい。気持ち悪い…」ってことも確かにある。
警報みたいな影響の大きい現象の可能性があるときは、そんな予報担当者の“気持ち悪さ”も伝えていこうって情報です。

可能性「中」とか曖昧でわからん、ハッキリしろ!なんて声が出てくるのはもちろん承知。
それでも、不確実性があることは踏まえた上で備えるきっかけにしてほしい。
そんな想いが込められた情報になってます。

あとは、目先の現象に対して出してる注意報や警報と違い、5日先まで対応してるというのも新しい取り組み。
週間予報という少し先の領域に対して今の予報技術でどこまで精度良く発表していけるかというのはなかなか難しいところですが、「中」が登場したらとりあえず心の準備。
まずはそんな感じで見てもらえればいいかなと。

リーフレット「気象警報・注意報をより見やすく!より分りやすく!」も参考にどうぞ。

そして、今回のリニューアルに続いて7月には大雨・洪水警報の高度化も行われる予定。
気象庁の予報現場はなかなか激動の2017年です…。

大雨・洪水警報の高度化についてはまた改めて取り上げるつもりだけど、気になる方はこちらをどうぞ。
【報道発表資料】雨による災害発生の危険度の高まりを評価する技術を活用した大雨・洪水警報や大雨特別警報の改善、及び危険度分布の提供について@気象庁
リーフレット「大雨警報・洪水警報の危険度分布~気象災害から命を守るために~」 @気象庁

これらの取り組みは2015年にまとめられた「新たなステージ」に対応した防災気象情報の改善に対応したもの。
また気象庁の情報増えたよ…なんて気がしないでもないけど、使えそうなら使ってやるか、くらいのつもりでまずは見てもらえると現場のひとりとしてありがたいです。

天気予報と予報官の仕事

今日の関東は予報官殺し。
数値予報は「東側の低気圧から湿った北東風が続くけど日中は消散して晴れる&気温あがるよ~」と言うけれど、実際には下層雲がなかなかとれず晴れないし気温も上がらない。そんな典型的ハズレパターンのひとつ。
まあ今回はかなり下層の湿りがしっかりしてたので、分かりやすい方ではありました。

どんどん進歩して精度があがり続けてる数値予報だけど、やっぱり外れる時は外れる。そんなハズレパターンの匂いをできるだけ早く嗅ぎとって、いかに先読みして適切な予報を出していくか。
そのためには実況データと予測データの両方から気象現象を解析&理解する力が必要不可欠。
これがまだまだ人が天気予報に関わっていく必要がある理由のひとつだと思ってます。

ただし、数値予報がどんどん賢くなってるせいで実際に逆らうには相当な気合いと根拠が必要になりつつあるのも事実。
「こうなる気がするけどモデル(≒数値予報)通りになるとハズレ感が半端ないから折衷案のこの辺で…」→「やっぱりこうなったか…」なんてこともよくある話。
特に深読みしすぎてモデルに逆らった上で予報を外した後は、しばらく自分を信じるのが怖くなったりもします(涙)

そんなモデル変更恐怖症の最中でも目先の実況は間違いないわけだから、せめて実況にあった予報は出していくべきところ。 
…ではあるけど、細かい予報を出そうとするほど人が主観的に変更するのは作業的に厳しくなる。
実際、身の回りにあふれる天気予報の中にも、どう見ても人が触ってないよね、な予報があるのも事実。
たとえばこんな感じで…。
どこの予報会社とは言いませんが、いくら何でも人が介入してるなら今日の関東で「晴れ」はないだろうなと。(※分かりやすい例として拝借。手作業とみられる下の〝天気概況〟はちゃんとした内容でした。)

ただ、これはダメだろ!と糾弾だけする気にもなれなくて、今の数値予報の精度を勘案した上で限られた人と時間のリソースをどこに投入するか判断した結果なんだろうなと。
いわゆる〝天気予報〟は一番目につく存在だけど、それだけじゃなかなかお金に繋がらないのも難しいところ。
人とお金の削減の流れが止まらない気象庁にしたって、いつまで人が手間暇かけた天気予報が出せるのかと考えてみるととても他人事じゃないです。

とりあえず、世の中に出回る天気予報が全て人がしっかり介入してるわけじゃないことを知っておいてください。

特に〝山の天気予報〟っぽく見せてるサイトには、数値予報の解像度や精度、山の地形や天気の局地性などなどを全部無視して、単純に近くの数値予報の値だけを垂れ流してるようなとこも。
天気図などから広い範囲の大まかな雰囲気を把握した上で、あくまても参考程度に利用するのがオススメです。

じゃあどうやればいいの?をまとめようと思って始めたサイトなのに、全然取り組んでないなぁ…なんて反省も少し。
何を、どの順番で、どこまで学べばいいか。いざ作ろうとするとなかなか考えがまとまらないなぁと。
おいおいやってこうと思います。

火山との付き合い方

ちょっと前(4/25)のネタだけど、内閣府が火山への登山の注意点を動画にまとめたみたい。
それが公開されてるのがこちらのサイト。
7分半でコンパクトにまとまってるんでぜひ1度どうぞ。
火山防災に関する普及啓発映像資料@内閣府

いい感じにまとまってるけど実際にどこに関連する情報があるかってのは詳しく解説してなかったんで、そこだけ少し補足しようと思います。

まずは狙ってる山が火山かどうかを知らなきゃ始まらない。

身も蓋もないけど、木々が生えてなくて、ガスでも出てるようなら文句ナシの火山。
そんなの当たり前だと言いたくなるけど「噴火しない火山はない」ってことも自分に言い聞かせとくのもお忘れなく。
近年の噴火記録なんかはGoogleで検索かけてWikipediaで調べるのが一番手っ取り早いです。

山好きな人ならこの本なんかもオススメ。


何がいいかって、一般的な山のガイド本は麓から眺めた山の姿&地形図ってのが定番。でも、この本は〝火山図鑑〟というだけあって火口周りの空撮写真集。違う切り口の山のガイド本としても使えちゃう。
当然ながら火山な山しか載ってないけど…。

もちろん基本的な火山の知識も載ってるからまさしく一石二鳥。こんな形してたのか、登山道こうなってたのか~と新しい発見もあると思うんでぜひ見つけたら眺めてみてください。

続いて第2ステップ

内閣府動画でも紹介されてた火山登山者向けの情報提供ページ@気象庁から火山の最近の様子をチェック。

噴火警報(噴火警戒レベル2以上)が発表されてると連動して入山規制がかかってるはずだからそもそも登ろうとしないだろうけど、問題なのは「警報は出てないけど最近ちょっと元気」な状態。

ザックリした目安として、火山解説情報(臨時)という情報が出てると「ちょっと気になるんで急いでお知らせしときますね」って意味なんで危険察知スイッチを入れといた方がいいです。

火山に対して様々な観測機器で顔色悪くない?熱ない?ちょっと呼吸荒いけど…みたいなことをして、本格的に体調を崩す予兆を捉えようってのが噴火予知。
でも御嶽山みたいに火山としては「ちょっとしたくしゃみ」程度の噴火でも人にとってはとんでもない脅威。
「は…は…はくしゅっ!」の「は…は…」を捉えるのは容易じゃないです。
いまの技術じゃ噴火をキッチリ予測できて事前に噴火警戒レベルが上がってる、って状況は期待しすぎない方がいいだろうなと。(※表現は自重)

もちろん、こんなことばっか言ってゼロリスクを求めたらたらどこの山にも登れない。
山に登る以上、火山に限らずその山にどんなリスクがあるから事前に調べて、登りながら頭の片隅でイメージしときましょ、って話でした。

無責任に人に勧めるわけにもいかないけど、ぼくは火山への登山はかなり好き。
地球、生きてるぞ~!!って力に溢れてる場所なんで。
あわせて、下山後の温泉という偉大な火山の恵みを調べるのもお忘れなく♪

事故防止には想像力(20170507支笏湖ボート事故)

5/7に北海道の湖で釣りをしてた2人が死亡したっていうこちらのニュース。
北海道 支笏湖で不明男性2人見つかり死亡確認@NHKニュース

大きなポイントはこの3つ。
・支笏湖で手こぎ式のゴムボートで釣りをしてた
・風が強くなって岸(湖の南西端)に戻れなくなった
・翌日に風下側の沖合&岸の近くで発見、死亡確認

とりあえず場所の確認。支笏湖ってこんなとこ。
札幌や千歳から車で30分くらい、直径7kmくらいある大きなカルデラ湖。水は綺麗だし、釣りはできるし、温泉もあるし、周りの恵庭岳や風不死岳(ふっぷし)、樽前山は山としてもなかなか素敵で色んな面で人気のあるエリア。
地理的には少し内陸だけど、風の吹きやすい場になると割と吹き抜けやすい場所だったりします。今回は南西側からボートで出て、西風に押されて戻れなくなった事例。

幅広で風の影響を受けやすいゴムボート、しかも推進力は手こぎと弱いため風は本当に天敵。

そして、事故の起きた5/7の天気図がこちら。
見るからに西風が吹きやすそうな気圧配置です…。

支笏湖の東岸にあるアメダスじゃ平均風はそこまでの値じゃないけど、瞬間風速は10m/s台半ばとぼちぼちの値。周辺のアメダスも含めて見ると、早朝に比べて昼にはかなり風が強くなってるのがよくわかります。

水遊びといえば昔ウィンドサーフィンをかじってたことがあったけど、初心者にとって「風に流されて岸に戻れないかも」というのは相当なプレッシャー。
遊ぶときはどっちから風が吹くのか、途中で風向きが変わったり強まったりしないのか、ということを常に意識してました。

船も風に対する意識は非常に重要。
前日の予想天気図&天気予報を見て、西風がふきやすいことに危険を感じることさえできてれば防げた事故だったんじゃないかな…、というのが素直な感想です。

外遊びをするときは自分たちがどんな遊びを計画してて、どんな気象条件に注意が必要なのかちゃんと意識しておくのは本当に大切。

海や湖なら風&波、川なら上流も含めて雨による増水、山は逃げ場の有無も含めてルート&天気を総合的に想像しておく必要あり。

想像力と自然への謙虚な気持ちを忘れず事故のないアウトドアライフを送りたいものです…。