ブリ去りぬ

1ブリ去ってまた1ブリ。
最近また悪天率が上がってきた気がする南極ライフ。
昨日今日とブリザード後でバタバタしてたんで簡単に記録です。

24日夜から吹雪が始まって、25日は1日中こんな感じ。
こんな天気でもメインの職場である気象棟への通勤はするし、ゾンデも上げるし、なかなか大変。

そして26日朝にはブリがひと段落。
風はまだ10m/sくらい残ってるけど、とりあえず外で動けるようになったら観測機器のお手入れ。

まずは気温&湿度計を守る百葉箱。
だいたいブリの後には中にも雪が入ってるんでさっさと除雪がお約束。

パカッと開く扉からせっせと除雪

南極仕様の百葉箱、除雪しやすいように底も開くようになってる優れ物

綺麗になった~♪

除雪が終わった後は基準となる測器と比較してちゃんと正しい値が測れてるか確認もして、そこをクリアすれば一安心。
百葉箱の他にもあちこちにある測器を確認しに歩き回るけど、写真撮るの忘れたから今回は省略で。

そして26日夜から27日朝。
たった半日の中休みが終わり、またもや20m/s級のブリ襲来。
天気が悪いと仕事が増えるのは国内でも南極でも一緒。
だってお天気屋さんだもの…

でも、今度こそブリ一過の素敵な景色!
点検に回りながらスッキリ生まれ変わった景色を楽しみます。

そして、自分が担当する仕事だけで終わらないのが南極ライフ。

たった31人で昭和基地を維持する越冬隊。
各隊員は自分の仕事を持ちつつ、お互いを助けつつ、人手が必要な作業には総当たり。

ってなわけで、ブリ明けの恒例行事:130kL水槽の除雪作業。

基本的に気温がマイナスな昭和基地。
周囲に“水”はなく、あるのは雪と氷だけ。
これを発電機エンジンの排熱で溶かして水を作ってます。

そのための大きな水槽が130kL水槽。
ここが機能しなくなると水が一切使えなくなるわけで、そりゃもう必死に作業するってもんです。

人も重機もせっせと雪かき。そして水槽への適度な雪入れ。
130kL水槽以外にも建物や道路の雪かきもあって、ブリ後の昭和基地はまさに白い土木現場です。

そんなことをしているうちに、あっという間に漂う夕方の気配。
極夜があけて、ほんと1日ごとに昼が長くなる。
今の日没は17時頃、すっかり普通の世界になっちゃいました。

そんな景色を眺めつつ、昼作業の締めに測器の点検をもう一個!

南極の不思議な風、ハイドロリックジャンプ

今朝、薄明の空を眺めると何やら遠くに雪煙。

太陽が出てくるころには雪煙がさらに大きくなって・・・

すっかり明るくなったころには雪煙はより高く。そして広く。
昭和基地から眺めれる南極大陸の縁に沿うように雪煙の壁が延びてきた。

この雪煙は“ハイドロリックジャンプ”って現象。

天気のいい穏やかな日には、南極大陸は内陸部でキンキンに冷えて重くなった空気が斜面を流れ下る“カタバ風”って風が常に吹いてる。

カタバ風は斜面を勢いよく流れ下るけど、斜面が終わる大陸沿岸部で失速。
この風の流れの速度が変わる場所で流れが乱れて大きく跳ね上がることがあって、これが“ハイドロリックジャンプ”。
日本語だと“跳水(ちょうすい)”って現象です。

小さなのは何回か見てたけど、ここまでハッキリしたのを見れたのは初めて。

昭和基地から見ると南極大陸は東側にあって、東風がどんどん吹き寄せてくるのに見事に吹き上がって全く届いてこない。
大陸海岸の4~5km先までは強い東風が吹いてるのに昭和基地はずっと南風でした。

しばらく眺めてたかったけど、今日の気温は-25℃で5m/sの風もセット。
とても外でぼんやり立ってる気分にはならない寒さ。

眺める代わりにタイムラプスを撮ったんでどうぞ(5s間隔×10fps、50倍速)。
大陸から流れ下るカタバ風と、巻き上がるハイドロリックジャンプの様子がよく分かります。

見たいと思ってた自然現象、またひとつゲット!