“南極の氷”の楽しみ方

砕氷艦しらせ、11月の出発を前に毎年恒例の全国巡航&一般公開がスタート!

訓練として、10月頭にかけて横須賀→横浜→苫小牧→新潟→博多→高松→横須賀と日本をぐるっと一周。

各地の港に寄港したときは一般公開もされるのが定番。しらせを直接見れる&乗れる貴重な機会。文句なしに他に同じような船はないんで気になる人はぜひぜひ。
細かい日程は砕氷艦「しらせ」平成30年度総合訓練の実施について@海上自衛隊やGoogle先生に聞いてみてください。

こういった南極関連イベントでまず間違いなく展示されるのが“南極の氷”。
南極からはるばる持って帰ってきたってだけでもまずまずありがたい気がするけど、今回は南極の氷をどっぷり楽しむ6つのポイントをお伝えしようかと。

① 歴史を楽しむ

南極から持って帰ってきた氷の一番大事なポイント。それは“氷山の欠片”ってこと。

巨大な氷の塊(氷床)に覆われてる南極大陸。
寒い南極では降った雪は融けることなくただ降り積もるのみ。厚く積もった雪は自分の重みでゆっくりと圧縮され、しだいに氷に変わってきます。
その氷も自分の重さでゆっくりと海に向かって流れ下り(特に流れが速いとこが氷河)、海に向かってせり出し(棚氷)、バキッと割れて流れ出す(氷山)。棚氷@Wikipediaより
※日本語のいい図が見つからなかった…

南極からお土産に持って帰る氷はこうした長い行程の最後、氷山の欠片を切り出してきたもの。

最初の“降った雪”からどのくらい時間が経ってるかというと…ザッと数万年!

数万年前というと、最後の氷河期(氷期)の真っ只中。
はるか昔に降り積もり、氷河期を生き抜いた氷の末裔が目の前にあると思えばありがたさ倍増間違いなし。
途方もない時間の長さに想いを馳せてもらえればと。

② 見た目を楽しむ

南極の氷、塊だと結構白っぽい。
でも、小さな欠片を手にとって眺めるとこんな感じ。

氷そのものは透明だけど中に小さな気泡がいっぱい。このせいで塊として白っぽく見えてます。
この細かな気泡が“南極の氷”であることの何よりの証拠。

降り積もった雪からできた南極の氷。
雪はたっぷりと空気を含んでて、ムギュッと圧縮されて氷になるときに空気も一緒に圧縮される。
その空気が丸まって閉じこめられたのがこの気泡。
中には氷河期のウン万年前の空気が詰まったまま。
南極の氷は、昔の空気のタイムカプセルってことです。

降り積もる雪が氷になるから、深く掘れば深いほど古い氷が見つかる。この氷から色んなことがわかるんだけど、もうちょっと勉強したら改めて詳しく取り上げようかなと。

さて、本題に戻って南極の氷の楽しみ方の続き。

③ 感触を楽しむ

じっくり観察したとこで次はそっと触れてみる。
軽く手のひらで触れて、冷たいけどちょっと我慢。
すると、小さくパチッと、プチっと、小さく何かが弾ける感触が伝わるはず。

これは氷が融けて、気泡にギュッと詰まった昔の空気が弾け出る時の衝撃。

いま、その手には南極のウン万年前の空気がくっついた。

④ 音を楽しむ

音を楽しむのに便利な道具が使い捨てのプラコップ。

コップに南極の氷を入れて、ちょいと水を入れて氷が融けやすくする。
それからコップに耳を近づけると… パチパチっ、シュワシュワっ、そんな音が聞こえるはず。
太古の氷から太古の空気が飛び出すハーモニーをお楽しみあれ。

※塊の氷しか展示してないとこじゃ集中して耳を澄ませるしかないです。

⑤ 香りを楽しむ

④で音を楽しんだら、そのままこちらへ。
コップの中には太古の氷から弾けだした空気がいっぱい。
つまり、氷の中は太古の地球の大気そのもの。
コップの中の空気を吸う、それは氷河期の南極で息をしてるのと同じ。

で、どんな香りかって?

それは気分の問題かな…

⑥ 味を楽しむ

そして、最後の楽しみ方。
見て、触って、聞いて、嗅いだらあとは味が気になるところ。

ぜひ味わってもらいたいとこだけど…
残念ながらイベントでは食べるのは禁止!

雪を食べるようなもんで変な物は入ってないと思うけど、衛生管理も消毒してない物だからやめといてねってこと。

どーしても気になる人は、どこか身の回りで最近南極観測隊に参加した人を探すか、将来の観測隊を目指して頑張りましょう!

南極行くと、氷を掘るついでに流しそうめんしたり、カキ氷にしたり。詳しくは極地研究所のアイスオペレーション@昭和基地NOW!!をどうぞ。
“よりもい”でもキマリ達が参加&食べてたやつですな。

昭和基地NOW!!@極地研究所では、いま南極で観測隊がどんなことやってるかを随時更新中。
南極に興味のある人は時々覗いてみてくださいな。

2020年の春には60次隊がせっせと掘った南極の氷を日本にお届けします♪

ハリケーンから台風へ→なりました

前回(ハリケーンから台風へ)取り上げたハリケーンHector。

ついにハリケーンHectorから台風Hectorへ改名して再デビュー(?)したんでその記録を。

ハリケーンHectorから台風Hectorへ改名したってことは、RSMC Honolulu@ハワイからRSMC Tokyoへバトンパスしたってこと。
8月14日3時(日本時間)から東経域に入りRSMC Tokyo管轄の“台風”になりました。

RSMC Honoluluでは“Hurricane”から“Tropical Storm”へ。Hectorの進路予報@Central Pacific Hurricane Centerに加筆

RSMC Tokyoでは“熱帯低気圧”から“台風”へ。台風情報@気象庁より

…これじゃいつもと変わらん!ってことで、8月14日3時のアジア域天気図から台風17号を拡大。

普段の“熱帯低気圧から発達して台風”のパターンとの違いを探してみてください。
こっちは8月13日9時にできた台風16号のとき。

元々TROPICAL STORM(最大風速34ノット以上)だった台風17号と、TD(TROPICAL DEPRESSION、最大風速34ノット未満)から強くなってできた台風16号。
そんな感じです。

しかし、こうした熱帯低気圧ネタを書くときは日本語と英語で微妙にズレがあるからなんとも書きにくい。

最大風速34ノット以上の熱帯低気圧は台風。
でも、最大風速64ノット未満の台風はTYPHOONではない、なんてことになってます…。
アジア太平洋域 実況天気図の説明@気象庁より

ハリケーンから台風へ

ハワイの近くにあって、日本のアジア域天気図にも姿が見えるハリケーンHector。もうある程度話題になってるけど、場所と進路がちょいと気になる状態です。天気図赤外画像@気象庁より

赤外画像に書き込んだ赤線は東経180度線(かつ西経180度線)。ハリケーンHectorがこのラインを跨ぐとちょっとめんくさいことに。

台風やハリケーン、サイクロンといった熱帯低気圧に対して、世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)の枠組みの元、世界で6つの熱帯低気圧地区特別気象センター(RSMC:tropical cyclone Regional Specialized Meteorological Centre)があってそれぞれ担当エリアの監視を請け負ってます。

日本周辺はというと、気象庁がRSMC Tokyoとして北西太平洋エリアの熱帯低気圧“台風”を担当。
地域特別気象中枢@wikipediaより

困ったことにたまにRSMCの担当エリアを跨いで移動するひねくれ者が出てくる。今回話題になってるハリケーンHectorがまさにこのパターン。

今のとこRSMC Honolulu@ハワイの管轄の元でハリケーンとして過ごしてるけど、このまま西へ進んで東経180度線を跨げばRSMC Tokyoが管轄する台風として看板を掛けかえることになります。
ハリケーンHectorの進路予報を見ても順調に西進するようなので時間の問題なのかなと。
Hectorの進路予報@Central Pacific Hurricane Centerに加筆

RSMC HonoluluからRSMC Tokyoへ。
どのタイミングで引継ぐか、両者の強度解析や進路予報に大きなズレはないか。
イレギュラーな事例に対してシステムはうまく動くか。
台風の現場では色々と大変だそうです。

ちなみに、普段の台風の名前はリストから順番につけてるけど、越境してくる場合は生まれ故郷の名前をそのまま引き継ぐルール。

ハリケーンHectorから台風Hectorへ。

日本への影響はまったくもって気にする段階じゃないけど、ひねくれ台風の誕生の瞬間にご注目あれ。

しっかし本当に色んなことが起きる2018年夏ですな…。