“南極の氷”の楽しみ方

砕氷艦しらせ、11月の出発を前に毎年恒例の全国巡航&一般公開がスタート!

訓練として、10月頭にかけて横須賀→横浜→苫小牧→新潟→博多→高松→横須賀と日本をぐるっと一周。

各地の港に寄港したときは一般公開もされるのが定番。しらせを直接見れる&乗れる貴重な機会。文句なしに他に同じような船はないんで気になる人はぜひぜひ。
細かい日程は砕氷艦「しらせ」平成30年度総合訓練の実施について@海上自衛隊やGoogle先生に聞いてみてください。

こういった南極関連イベントでまず間違いなく展示されるのが“南極の氷”。
南極からはるばる持って帰ってきたってだけでもまずまずありがたい気がするけど、今回は南極の氷をどっぷり楽しむ6つのポイントをお伝えしようかと。

① 歴史を楽しむ

南極から持って帰ってきた氷の一番大事なポイント。それは“氷山の欠片”ってこと。

巨大な氷の塊(氷床)に覆われてる南極大陸。
寒い南極では降った雪は融けることなくただ降り積もるのみ。厚く積もった雪は自分の重みでゆっくりと圧縮され、しだいに氷に変わってきます。
その氷も自分の重さでゆっくりと海に向かって流れ下り(特に流れが速いとこが氷河)、海に向かってせり出し(棚氷)、バキッと割れて流れ出す(氷山)。棚氷@Wikipediaより
※日本語のいい図が見つからなかった…

南極からお土産に持って帰る氷はこうした長い行程の最後、氷山の欠片を切り出してきたもの。

最初の“降った雪”からどのくらい時間が経ってるかというと…ザッと数万年!

数万年前というと、最後の氷河期(氷期)の真っ只中。
はるか昔に降り積もり、氷河期を生き抜いた氷の末裔が目の前にあると思えばありがたさ倍増間違いなし。
途方もない時間の長さに想いを馳せてもらえればと。

② 見た目を楽しむ

南極の氷、塊だと結構白っぽい。
でも、小さな欠片を手にとって眺めるとこんな感じ。

氷そのものは透明だけど中に小さな気泡がいっぱい。このせいで塊として白っぽく見えてます。
この細かな気泡が“南極の氷”であることの何よりの証拠。

降り積もった雪からできた南極の氷。
雪はたっぷりと空気を含んでて、ムギュッと圧縮されて氷になるときに空気も一緒に圧縮される。
その空気が丸まって閉じこめられたのがこの気泡。
中には氷河期のウン万年前の空気が詰まったまま。
南極の氷は、昔の空気のタイムカプセルってことです。

降り積もる雪が氷になるから、深く掘れば深いほど古い氷が見つかる。この氷から色んなことがわかるんだけど、もうちょっと勉強したら改めて詳しく取り上げようかなと。

さて、本題に戻って南極の氷の楽しみ方の続き。

③ 感触を楽しむ

じっくり観察したとこで次はそっと触れてみる。
軽く手のひらで触れて、冷たいけどちょっと我慢。
すると、小さくパチッと、プチっと、小さく何かが弾ける感触が伝わるはず。

これは氷が融けて、気泡にギュッと詰まった昔の空気が弾け出る時の衝撃。

いま、その手には南極のウン万年前の空気がくっついた。

④ 音を楽しむ

音を楽しむのに便利な道具が使い捨てのプラコップ。

コップに南極の氷を入れて、ちょいと水を入れて氷が融けやすくする。
それからコップに耳を近づけると… パチパチっ、シュワシュワっ、そんな音が聞こえるはず。
太古の氷から太古の空気が飛び出すハーモニーをお楽しみあれ。

※塊の氷しか展示してないとこじゃ集中して耳を澄ませるしかないです。

⑤ 香りを楽しむ

④で音を楽しんだら、そのままこちらへ。
コップの中には太古の氷から弾けだした空気がいっぱい。
つまり、氷の中は太古の地球の大気そのもの。
コップの中の空気を吸う、それは氷河期の南極で息をしてるのと同じ。

で、どんな香りかって?

それは気分の問題かな…

⑥ 味を楽しむ

そして、最後の楽しみ方。
見て、触って、聞いて、嗅いだらあとは味が気になるところ。

ぜひ味わってもらいたいとこだけど…
残念ながらイベントでは食べるのは禁止!

雪を食べるようなもんで変な物は入ってないと思うけど、衛生管理も消毒してない物だからやめといてねってこと。

どーしても気になる人は、どこか身の回りで最近南極観測隊に参加した人を探すか、将来の観測隊を目指して頑張りましょう!

南極行くと、氷を掘るついでに流しそうめんしたり、カキ氷にしたり。詳しくは極地研究所のアイスオペレーション@昭和基地NOW!!をどうぞ。
“よりもい”でもキマリ達が参加&食べてたやつですな。

昭和基地NOW!!@極地研究所では、いま南極で観測隊がどんなことやってるかを随時更新中。
南極に興味のある人は時々覗いてみてくださいな。

2020年の春には60次隊がせっせと掘った南極の氷を日本にお届けします♪

ハリケーンから台風へ→なりました

前回(ハリケーンから台風へ)取り上げたハリケーンHector。

ついにハリケーンHectorから台風Hectorへ改名して再デビュー(?)したんでその記録を。

ハリケーンHectorから台風Hectorへ改名したってことは、RSMC Honolulu@ハワイからRSMC Tokyoへバトンパスしたってこと。
8月14日3時(日本時間)から東経域に入りRSMC Tokyo管轄の“台風”になりました。

RSMC Honoluluでは“Hurricane”から“Tropical Storm”へ。Hectorの進路予報@Central Pacific Hurricane Centerに加筆

RSMC Tokyoでは“熱帯低気圧”から“台風”へ。台風情報@気象庁より

…これじゃいつもと変わらん!ってことで、8月14日3時のアジア域天気図から台風17号を拡大。

普段の“熱帯低気圧から発達して台風”のパターンとの違いを探してみてください。
こっちは8月13日9時にできた台風16号のとき。

元々TROPICAL STORM(最大風速34ノット以上)だった台風17号と、TD(TROPICAL DEPRESSION、最大風速34ノット未満)から強くなってできた台風16号。
そんな感じです。

しかし、こうした熱帯低気圧ネタを書くときは日本語と英語で微妙にズレがあるからなんとも書きにくい。

最大風速34ノット以上の熱帯低気圧は台風。
でも、最大風速64ノット未満の台風はTYPHOONではない、なんてことになってます…。
アジア太平洋域 実況天気図の説明@気象庁より

ハリケーンから台風へ

ハワイの近くにあって、日本のアジア域天気図にも姿が見えるハリケーンHector。もうある程度話題になってるけど、場所と進路がちょいと気になる状態です。天気図赤外画像@気象庁より

赤外画像に書き込んだ赤線は東経180度線(かつ西経180度線)。ハリケーンHectorがこのラインを跨ぐとちょっとめんくさいことに。

台風やハリケーン、サイクロンといった熱帯低気圧に対して、世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)の枠組みの元、世界で6つの熱帯低気圧地区特別気象センター(RSMC:tropical cyclone Regional Specialized Meteorological Centre)があってそれぞれ担当エリアの監視を請け負ってます。

日本周辺はというと、気象庁がRSMC Tokyoとして北西太平洋エリアの熱帯低気圧“台風”を担当。
地域特別気象中枢@wikipediaより

困ったことにたまにRSMCの担当エリアを跨いで移動するひねくれ者が出てくる。今回話題になってるハリケーンHectorがまさにこのパターン。

今のとこRSMC Honolulu@ハワイの管轄の元でハリケーンとして過ごしてるけど、このまま西へ進んで東経180度線を跨げばRSMC Tokyoが管轄する台風として看板を掛けかえることになります。
ハリケーンHectorの進路予報を見ても順調に西進するようなので時間の問題なのかなと。
Hectorの進路予報@Central Pacific Hurricane Centerに加筆

RSMC HonoluluからRSMC Tokyoへ。
どのタイミングで引継ぐか、両者の強度解析や進路予報に大きなズレはないか。
イレギュラーな事例に対してシステムはうまく動くか。
台風の現場では色々と大変だそうです。

ちなみに、普段の台風の名前はリストから順番につけてるけど、越境してくる場合は生まれ故郷の名前をそのまま引き継ぐルール。

ハリケーンHectorから台風Hectorへ。

日本への影響はまったくもって気にする段階じゃないけど、ひねくれ台風の誕生の瞬間にご注目あれ。

しっかし本当に色んなことが起きる2018年夏ですな…。

台風12号の憂鬱

なんとも珍しいコースをたどってる最中な平成30年の台風第12号。メモも兼ねて、なんでこんなコースになってるかゆる~く記録しときます。

主な登場人物(?)はもちろん台風12号。
そして、今回随分と脚光を浴びた気がする寒冷渦。

キャラ設定はこんな感じ

台風:熱っぽくて力は強いけど意志は弱い。他人の声(風)に流されやすい。
寒冷渦:大きな体(渦)で他人を巻き込むこと多数。周りの流れを気にせずマイペースに進む、ちょっと空気読めないやつ。偏西風にも避けられ気味。

それじゃ台風12号ができた7月25日から順番に。衛星画像は寒冷渦がわかりやすい水蒸気画像を使ってます。

7月25日 台風12号誕生
台:よっしゃ、夏満喫するぞ~!でも北西には高気圧あって進みにくいなぁ。あっ、北東になんかいやな流れがあるなぁ…。

7月26日 寒冷渦完成
寒:ありゃ、蛇行しすぎて偏西風に置いてかれてもた。しゃーない、西にでも行ってみるか。
台:(まずい、寒冷渦さんだ…こっちくる…)

7月27日 寒冷渦に見つかる
寒:おーい、12号やないか!ちょっとこっちこいや!
台:いや…ぼくこのまま北に行こうと…偏西風さん待ってるし…
寒:偏西風のやつは今いないから気にすんなって!な、こっちこいって!
台:えっと…はい…じゃあ少しだけ…

7月28日 本格的に巻き込まれる
台:あ、あのぅ…ぼくそろそろ北に向かお…
寒:こんな中途半端なとこで何いっとんや。せっかくやからもうちょっと付き合えって!な!

7月29日 泥沼
台:抜け出せないうちにこんなとこまできちゃったよぉ…
寒:ここまできたらオレらは運命共同体や!一緒に行くぞ!
台:いや、ぼくもうヘロヘロだし、長居すると迷惑かかる人いるし…
寒:そんなの気にすんなって!それよりよぉ、オレあんまり早く歩けねぇからちょっとそこで待っててくれや!
台:そ、そんなぁ(涙目)

7月30日 引き続き泥沼
台:ま、まだですか…?
寒:いま向かっとるとこやがな~。ほら、一緒におるとなんか楽しいやろ?
台:う、う~ん…

7月31日 吹っ切れてくる
寒:ふぅ、これでホンマに一緒や。仲良くしよや!
台:もうこの状況を楽しむしかないのか…?そう思ったらなんか体が軽くなってきたかも??

8月1~2日(予想) み な ぎ っ て き た !
寒:一緒も楽しいもんやろ~
台:そっすね~!あっはっは!(再発達)

こんな感じで気ままな寒冷渦に降り回される台風12号、そして台風予報。
最初はちょっと引っ張られて西よりに進むくらいだった予想が、ガッツリ巻き込まれて南下するまでになってしまいました…。

そして、台風に寒冷渦が追い付いて完全に一体化。ちょっと風変わりな台風として徐々に再発達しながらゆっくり西に進む予想。
雲の形を見ても一度ボロボロになった台風が渦としてキレイになってるのがわかるかと。

で、台風が抜けたら抜けたで再び猛暑が襲いかかる日々。
ほんと、とんでもない夏ですな…

2018/7/21-22 乾徳山

森あり、草原あり、岩場ありと景観の変化が楽しい乾徳山(2031m)@山梨。8年ぶりに登ってきました。

最初に登ったときは素直に日帰り山頂ピストン。今回は夜&朝の時間をのんびり過ごしたかったんで、国師ヶ原にある避難小屋に前泊プランをチョイス。地理院地図より

国師ヶ原までは徳和の登山口から森の中を約2時間。避難小屋は山頂にまっすぐ進む道から少し逸れたとこにある。

前に登ったときは古くてドンヨリしてたイメージだったけど、数年前にリニューアルとの情報。

どうなったかというと…予想以上にキレイになってた!!

ウッドデッキ!入り口&窓に網戸完備!床もピカピカ!
薪ストーブ付き!
トイレ前には外から直接入れるドアとベンチ。そしてバイオ式にまさかの人感式ライトまで!!
なんというハイスペックな避難小屋…。

6月に登った巻機山の避難小屋に続き、避難小屋の概念をいい意味でぶち壊すレベルの立派な小屋。

十分日帰りできる山だし、中間地点って立地からか週末だけど完全に貸切。あまり利用者もいないのかホコリやら虫やらはそれなりに積もってたんで、感謝も兼ねてせっせと掃除。
キレイになったあとは小屋内に入ってたアブ系を全部追いだして作業終了!

あとはウッドデッキでのんびり夕食たべて空を眺める。さすがに森の中じゃ展望ヨシってわけにはいかないけど、静かな雰囲気はなかなかいい。
人がいない代わりにシカやクワガタ♀が遊びにきましたw

今回小屋泊にした大きな理由のひとつが、新たる相棒・ミラーレス一眼の試し撮り。
微妙な天気ながらなんとか雲の隙間から星は見える。

あれこれ試しながら初の星空撮影。
写る!私のカメラにも写るぞっ!!

いや~、最近のカメラってホント凄い。ちょいと視力悪目なぼくの裸眼よりよっぽど綺麗に撮れてしまう。
10分くらい開放するとちゃんと星は軌跡を描いて、地球が回ってることも実感。

色々試しつつ星&写真の世界に素直に感動。
もともと星空を眺めるのはそれなりに好きだったけど、写真って行為でより積極的に関わる感じが性にあってるのかも。

そのあと寝る直前にシュラフ忘れが発覚したけど、そんな冷える季節でもないのでレスキューシートで対処。
せっかく袋に詰めたのにザックに入れ損ねるとは…。山の準備は余裕をもって、きれいな部屋でしなきゃいかんですな。
ほんとこの時期だからよかったものの、一歩間違えれば大変なことになるとこだった。反省。

さて、気を取り直して翌朝からは登山の続き。

国師ヶ原からもうひとつ坂を越えると、富士山をバックに広がる草原がステキな扇沢。

ずいぶん近くに山頂も見えてもう少し…と思うけど、ここからは登るのが楽しい岩エリア♪
後半にはなかなかの鎖場もあり、慣れてない人はちょっと苦労しそう。

特に最後の鳳岩の下半分は凹凸の少ないツルツル。
鎖に頼らずに登ろうとするとなかなか考えさせられるいい岩場。クラックはあるけど足が入るほど太くはなく、足をどう置くかに結構悩ませてくれた。
そこそこ高度感もあるけど、ここだけは迂回路があるから危険を感じる人は無理せずそちらへどうぞ。

そんな鳳岩を登りきるとそこが山頂♪
ラスボス直後に山頂ってルート配置がまたニクいぜ乾徳山!!

急な岩場の山頂とあって展望も良好。
快適な休憩スペースはちょっと少ないけど、小屋泊で2時間のアドバンテージがあるおかげで山頂も貸切。
なんという贅沢な時間…。

乾徳山、久々に登ったけどやっぱりいい山だった!
またそのうち登っと。

あと、初めてちゃんとしたカメラ装備で登ってみて色々気づく&考えることも。
星空も含めて、目の前のきれいな景色をどう切り取るかアレコレ考えるのはなかなか楽しい作業。
まだ駆け出しなもんだから悩んでばっかだけど(^^;

そして、かねてから聞いてた写真と登山の相性の悪さを実感。

・荷物が増える
比較的コンパクトなオリンパスにしたとはいえ、カメラ本体&レンズに三脚を合わせると約2kg。日帰り装備ならまだしも、テン泊装備に足すとなるとちょっと悩む重さ。

・行動が遅くなる
目の前の景色のどこをどう撮るか。ちゃんと考えつつ撮ろうとすると、どうしても足取りは遅くなる。判断も含めた撮影技術の向上で改善はされるんだろうけど…。星空撮ってると当然寝る時間も遅くなる。冬は撮ってる間寒いだろなぁ。

・カメラが気になる
買いたてだからなおさらだけど、ぶつけたりしないか気になる!今回みたいな岩場で首からぶら下げるなんて邪魔にもなるし論外。夜と山頂以外はほとんどザックの中にいれたままコンデジメインでした。

ちょっとだけ山岳写真を意識してみた今回。
気分的には登山8:写真2。そして登山と写真のパートがスパッと別れてた感じ。
山の楽しみ方の中にどう写真を融合させていくか。
これからの課題であり、同時に楽しみでもあるような。

そんな新しい扉を少し開けてきた山旅でした。
街中でもカメラの練習しとこっと。

8月頭に空と南極のイベントありまっせ

前回とはガラッと変わって、今回は自然科学を楽しもうぜ!な話。
8月頭に気象庁と国立極地研究所でそれぞれ一般公開イベントがあるんでご紹介です。

まず、8月1日(水)と2日(木)は気象庁夏休み子ども見学デー

〝子供見学デー〟って名前だけど、もちろん大人も大歓迎。全体的にゆるめな雰囲気ではあるんで、大人はその辺の職員捕まえて聞きたいことを遠慮なく聞いちゃってください。

気象庁内の南極観測チームもブースを出して、南極の氷や防寒服を展示予定。
せっせと南極に向けて旅立つ準備をしてる隊員(ぼく含む)や南極経験者がおもてなしするんで来場の際はぜひお立ち寄りください。
2日の15:00~15:40には南極昭和基地との中継ライブトークも予定してます。

あと毎年人気なのは予報や地震の作業現場を見学するツアー。事前申込みをしてるんで気になる人はお早めに。
いっぱいだったり予定合わなかった人は、少し仲間を集めれば平日に見学することはできるんで改めてどうぞ。
見学について@気象庁

続いて、8月4日(土)は国立極地研究所の一般公開、極地研探検2018

北極と南極で活躍する幅広いジャンルの人が集まる極地研。トークセッションや体験コーナーも豊富でちょっと羨ましくなるほどの充実っぷり。
自然科学にちょっとでも興味があるひとはきっと楽しめるはず。

もちろんこちらも中継しながらのライブトークあり。
しかも一度に北極と南極、地球の両極を楽しめる豪華仕様!

よりもい関連の展示や上映会もあるみたいだし、聖地巡礼の機会にちょうどいいかも。
作中ではあまり触れられなかった、そもそも南極行って何するの?を存分に味わえるかと。

真夏のド真ん中にちょっと南極気分を味わってみてはいかがでしょ(^^)

ハザードマップのススメ(洪水編)

本当に、本当に大きな被害となった今回の西日本豪雨(気象庁は平成30年7月豪雨と命名)。
こういった記録的な大雨になるとダムや堤防、排水施設内といった物(ハード)の能力の限界を超えてしまう場所が出てくるのは仕方ない。これをハードで抑え込もうとすると、とんでもない費用と環境負荷がかかってしまう。
こんなときにどう行動して被害を抑えるかは人(ソフト)の役割が大きくなる。
じゃあどうすればうまく行動できるか。

今回はそんな話を洪水をテーマに書いてみました。ちょっと長い&堅い話です。

まず最初に抑えておきたいポイント。
災害はどんな時にどこで起きるか。

当たり前だけど、どんなに大雨が降っても山の上に洪水は起きないし、平らなとこで土砂崩れは起きない。
洪水は低くて水が集まりやすいとこ・流れが淀むとこで起き、土砂崩れは急な斜面で起きる。

こうした地形や地質によるその土地が元々持つ災害に対する危険性、これが〝素因〟。
そして、大雨や地震みたいに災害を引き起こす直接的な現象を〝誘因〟といいます。
素因に誘因が重なり、さらにそこに人がいたとき起きるのが〝災害〟です。

自然現象である誘因は様々なパターンがあり、まったく同じことが起きるってことはまずない。
一方、土地の特性である素因は基本的に変わらない。
災害対策の土木工事なんかも、素因を無くすってよりは軽減する、改善するといった雰囲気です。

そこで、どこにどんな災害リスクがあるか、ある想定の現象が起きたらどれだけの被害が起きるか、を考えて作ってるのがハザードマップ。
各市町村で細かく作ってることが多いけど、手軽にざっくり把握するなら重ねるハザードマップ@国土交通省がオススメ。簡単に場所&災害種別を切り替えることが可能。
さらにわがまちハザードマップ@国土交通省では各自治体がまとめたハザードマップをまとめて探すこともできます。

ただし、ハザードマップを見てココは安心、ココは危ない、とだけ丸暗記するのはちょっと危険。
ハザードマップはあくまでもある想定に基づいた予測なので、現象の程度によって被害は大きくも小さくもなる。
また、小さな河川や崖など、ハザードマップではカバーしきらない危険性もあるってことを忘れちゃいけない。

そこでハザードマップに踏み込んで活用するために意識して欲しいのが地形。
地形もネットでお手軽に見れる時代。ブラタモリ好きなら地形を楽しむ素養はすでにあるはず。
ぜひ地理院地図@国土地理院で身の回りの地形を眺めてください。
※ぼくが見やすいなと思ったのはベースの地図+色別標高図+陰影起伏図(少し透過)。他にも色んなデータ&見た目をカスタマイズ可能。めっちゃ高機能です。今は他にも色んなツールがあるので、お気に入りを各自探すのもいいかと。

こんな災害の後に取り上げるのも躊躇しちゃうけど、より現実性を感じてもらうべく岡山県の倉敷市真備を例にします。

真備周辺の洪水ハザードマップがこちら。

そして、このエリアの地形。

この地形から真備がなぜ浸水想定が深い(≒洪水リスクが高い)か見てきます。

まず最初に着目するのは大きな川。
真備町周辺だと北から南に流れる高梁川が目立ちます。

そして、川の流れになった気持ちで川を下ってみる。
すると気になるのが次の赤丸エリア。山が連なる中をすり抜けるように流れてて、どうにも通りにくい。

ここに大雨が降るとどうなるか。
狭いとこで流れが詰まり、上流側の低地に溜まることに。

今回決壊して直接的な影響を与えたのは高梁川の支流で少し小さい小田川だけど、小田川決壊の背景には
高梁川の詰まりやすい地形→高梁川の水位上がる→小田川の水が先に流れない→小田川の水位上がる→限界になって決壊
そんな流れが指摘されてます。
「バックウォーター現象」で支流の水位急上昇か@読売オンライン

繰り返しになるけど、ハザードマップはあくまでもある想定に基づいた予測なので、現象の程度や決壊の場所によって被害は大きくも小さくもなる。
それでも、その土地が持ってる災害リスクを分かりやすく示してくれてることは間違いないです。PASCOによる災害前後の衛星画像から引用 ※撮影時点でまだ冠水してる場所=洪水被害エリアの全体、というわけではないことに注意

危ない!避難して!と言われても、なぜ・どこが危なくて、どうすればいいか。ここをあらかじめ考えとかないと有効な行動をとるのは本当に難しい。
ぜひ、身の回りのハザードマップ&地形を眺めて、なぜそこにその災害リスクがあるか、避難するにはどう行動すればいいかを考えてみてください。

これだけで防災の備えとしては各段にレベルアップ。そして、ここからはさらに上のレベルを目指す人ための話。

洪水において土地の特性を抑えた次にチェックして欲しいのが、個々の川の危険度を示してる指定河川洪水予報の存在。
ある程度の広さを持つ市町村全体の危険度を包括的に示す注意報や警報と違って、個々の川の水位実況や予測を元にして出す個々の川に対する特別な情報、それが指定河川洪水予報。
自分の近くの〇〇川が危ないよ!ってな直接的に自分に関わる情報です。指定河川洪水予報@気象庁より引用

対象となる河川は地図一覧表になってるけど、ちょっと見にくい。洪水危険度分布から近くに黒線で囲った太い川を見つけたらそれが指定河川洪水予報の対象河川。
名前を頭に叩き込んでおいて、その川が対象になった指定河川洪水予報が出たらすぐに避難行動できる準備!
そんな感じかと。

ただ、ある程度大きな河川で指定河川洪水予報が発表されるような時は相当な大雨の真っ最中。
色んな情報が飛び交い、自分が本当に必要な情報にたどり着きにくい傾向あり。
ここをどう改善するかは伝え手側の大きな課題だけど、ひとまず現状は現状として受け入れてもらうしかないかと…。

この辺の〝情報を整理して必要なとこを住民に伝える〟って作業の最終段階が地元自治体の避難勧告や避難指示。でも、逃げろと言われたってどうすればいいかはあらかじめ考えとかないとまず動けない。

自分の周辺にどんな災害リスクがあるか、そしていざという時にどう行動するか。それは住民各々があらかじめ知る&考えておいて欲しいこと。そんな考えで各家庭にハザードマップを配布したるんだろうなと。

これだけ記録的な大雨なのになんで避難しなかったんだ、なんて感じた人へ。

自分の身の周りにどんな災害リスクがあるか、そしていざというときどう行動するか。ちゃんと把握してますか??

この機会に災害を遠い世界の出来事ではなく、ぜひ自分の立場に置き換えて考えてみてください。

一生遭遇しないかもしれないけど、もし遭遇したときに自分自身と大事な人を守るために。

最後になりましたが、今回の災害で亡くなられた方々のご冥福をお祈りします。

2018/6/23ー24 巻機山

今回はひっさびさに山でお泊まり♪
舞台はマッキーこと巻機山(まきはたやま、標高1967m)。
山頂近くにやたらキレイな避難小屋があると聞いてのチョイスです。初日の天気は微妙だけど、2日目はたぶん良くなると信じての1泊2日プラン。

ルートはメインルートである桜坂コースの往復で、概ね尾根沿いにえっちらおっちら登り続ける。地理院地図より

前半は樹林帯の中で展望もあんまりないけど、きれいなブナ林の中を歩く雰囲気は結構好き。(と言いつつ全然写真撮ってない)

谷沿いのルートはまだまだ通れたもんじゃありませんな…

7号目に着く頃には景色も開けて登ってきたぜ感が加速してく。(ただし、後から振り返ってみると足元は痛々しい。後述。)

もうすぐ9号目の避難小屋ってあたりで傾斜がゆるくなったけど、そこでちょっと不思議な光景。
登山道から谷を挟んで隣の斜面に突如として現れるオオシラビソの樹林帯。しかもなんかまばらな分布。多雪地だと雪の影響であるべき植生が抜けることがあるってのは知ってたけど、抜けたように見せかけて実はあるってのはなかかなか面白い。

そんな景色を楽しみつつ避難小屋に到着。
休憩してると予想通り天気は下り坂。雨は降り出しガスるしのんびり昼寝タイム。

もう今日はいいかとも思ったけど、夕方になって少し落ち着いたんで夕焼け見えたらラッキーと思いながら山頂へ。
巻機山の山頂標識は植生保護のためか、ほんとの頂点からはだいぶ離れた場所。

巻機山の西側、割引山なら夕日側の展望がいいかと思ったけど気持ち悪い雪渓が残ってたからサクッと断念。
なかなかの傾斜、そしてず~っと下の谷まで続く雪渓。雪が締まってる時に一度滑るとまず間違いなく止まらずに強制下山する羽目になるんでご注意を。こんなとこで無茶しちゃいかんです。

お目当ての夕焼けはこの程度だったけど、雨上がりの散歩も悪くない。しっとりした景色が山頂周りの池塘にぴったり。こうして1日目が終了。

予報的には日の出が拝めるかは微妙だったけど、淡い期待を胸に3時過ぎ起床。
すると…晴れてる!!

ってなわけで、時間を気にしながら山頂へ。
夏至のこの時期、日の出は4時過ぎとかなりの早さ。

彗星のようにも見える飛行機雲を見上げつつ

巻機山を過ぎて越後三山が正面に控える牛ヶ岳を目指す

朝もやの中、朝を待つ山々

そして…朝ですよー!

世界は藍から赤へ

そして赤から黄へ

さらに相棒とハロのポーズw

どんどん景色の色が変わるこの時間。
ひさしぶりに味わったけどホントに素敵だった。
なんというか、世界が生まれ変わるみたいな雰囲気。
やっぱり山で泊まるのはいいなぁ。

マッキーは人気者と聞いてたけど、なるほど納得。
景色と植生の変化が大きいから歩いてて飽きないし高山植物も豊富。首都圏からのアクセスも比較的いいし、山の行程も日帰りで十分。時間があればキレイな避難小屋で泊まりプラン。

しかもこの避難小屋。なにが凄いってトイレがバイオ式でめっちゃキレイ!!
紙に加えて使った紙を持って帰るためのビニール袋まで置いてくれてる。このトイレを汚したとあっては登山者の名折れ。正しく使って、気持ちよく協力金を入れてきましょ。
管理してる巻機友の会の人達、ほんとにありがとー!

そして最後にもうひとつ。

アクセスが良く、景観もいい巻機山。

当然登山者がいっぱい来るわけで、特に湿原性の山頂周りはかつて甚大なダメージを受けて荒廃してたらしい。

このままじゃいかん!と立ち上がり、植生の回復と保全に取り組んできたのが巻機山景観保全ボランティアーズの皆さん。

かつて巻機山どんな状態だったか、そしてどう取り組んできたか。
山を楽しむ登山者として、いい山だったな~だけで終わらずに山を支えてる人達のことを知っててもいいと思う。

巻機山に登ったことある人、これから登ろうかと思ってる人。ぜひ、時間のあるときに読んでみてください。

この辺にきれいにまとまってます。
植生破壊のメカニズム@巻機山景観保全ボランティアーズ
これまでの活動@巻機山景観保全ボランティアーズ

素敵な景色に溢れ、色んな人の山への愛が詰まった山、巻機山。ホントにいい山でした!

めざせ!南極気象予報士(決定版)

先週6月22日に文部科学省から出たこちらの報道発表。
第60次南極地域観測隊員等の決定について@文部科学省

第152回南極地域観測統合推進本部総会で第60次南極地域観測隊員の大部分が決定。
その中にはぼくの名前も。

ってなわけで。

今年の11月から、約1年半。
第60次南極地域観測隊(越冬)の一人として南極に行ってきます!

4月に所属部署が変わったことで事実上の準備は始まってたけど、ついにこうして〝決定〟まで来たのは大きなひと区切り。
南極地域観測隊の候補者から正式隊員となる上での最大の障壁〝健康判定〟を無事にクリアしたってことになります。

今の立場はこんな段階↓第60次南極地域観測隊の行動予定@国立極地研究所(以下、極地研)より

わざわざ赤字で「身体検査の進捗により~」と書いてるあたり、いかに重要ポイントかが伝わるかと。
どんな検査をするかは健康判定の検査項目@極地研をどうぞ。

色々と人生初の検査があって面白くもあったけど、もちろん結果が出るまではドキドキ。
どうやら検査の時点で指摘された虫歯の対処でせっせと歯医者に通ったくらいで無事に終わったみたい。

夏期総合訓練(通称:なつくん)もすでに終わり、各隊員は自分の任務に必要な訓練、物資の調達&梱包と慌ただしい準備が本格化。
しらせが日本を出発する11月にかけて怒涛の数ヶ月になる、らしいです。

夏訓では南極地域観測隊が成り立つための仕事や任務について色々と教わったけど、文明圏から離れた場所で昭和基地というひとつの街を維持するだけでもホントに大変なんだなぁと。

南極がどんなとこで、どんなことをしてるのか。

何よりぼくの志望動機の柱である、どんな景色が広がり、どんな自然現象が起きるのか。

その辺をキャッチーでウィットでセンセーショナルに伝えてきます!

…とはいっても、南極に向けて出発するまでまだ5ヶ月くらいあるんで、それまでは日常の気象ネタと南極ネタが入り混じるごちゃごちゃした内容になりそうな予感。
ブレブレな軸のことは気にしないでください(^^;)

【読書感想文×2】南極で生き物を愛した人と、空を愛した人

最近は何かと南極絡みの本を読むことが多いけど、今回はその中から印象深かった2冊をご紹介。

まずは田邊優貴子さんによる〝すてきな地球の果て〟

よりもい(宇宙よりも遠い場所)見てて、「あ、これは…」と思った。
こうすればもっと分かりやすいかと。

たぶん、よりもい作中で報瀬の母、貴子が書いた本である〝宇宙よりも遠い場所〟デザインのモチーフだろうな~と。
狙ってか、名前も田邊優貴子と小淵沢貴子で似た雰囲気。

田邊優貴子さんは極地を中心に活躍する生物学者さん。

…ってことだけは知ってたけど、よりもい見た時点でまだ読んではなかった(^^;
で、今回の更新になったわけ。

極地に向かうきっかけから、実際に南極と北極に行って出会った感動を生き物との関わりを中心に綴った手記的な雰囲気の強い1冊。
本当に極地が好きで、生き物が好きで、この世界が好きで。
そんな溢れ出る気持ちがよく伝わってくる素敵な本。
南極に興味があるなら一度読んで損はしないはず。
もっと早く読んどけばよかったな~。
よりもい視点でも色々思ったけどそれは後で。

この本の難点をあげるとすれば手記的な要素が強いんで、あらかじめ南極や北極の写真や映像をそこそこ見てればすんなりリンクするけど、前知識がない状態だともしかすると入り込みにくいかも??

パートごとにまとまって素敵な写真も数多くのってるけど、あくまでもメインは文章を通して田邊さんの感動を追体験するって本な気がしました。

そこでもう1冊のオススメをご紹介。

こちら、武田康男さんによる〝世界一空が美しい大陸 南極の図鑑〟

武田康男さんは〝南極の空を見る&撮る〟ことを目的に南極を目指した空の写真家。
個人的にかなり親近感を感じる動機ですw

こっちは素直に主題は〝南極の自然の写真集〟で、写真に筆者の想いや解説が付く形。
目の前に広がる圧倒的な自然を切り取った作品がズラリと並んでます。
南極ってどんなとこだろ、と思ってる人は先にこっちをみた方が分かりやすくていいんじゃないかなと。

田邊優貴子さんと武田康男さん。

同じ南極を舞台にしていながら、生物学者と空好きが見る景色の違い。
もちろん重なる視点もあるけど、やっぱり生き物を見ちゃう人と、空を見ちゃう人。
手記と写真集という表現の違い。
あと、田邉さんは夏の南極だけ。武田さんは越冬隊として丸ごと1年の南極って違いも。
読み比べるととても面白い2冊なんでぜひセットでどうぞ。

さて、ここからはちょいとアニメ好き属性強めな話を。

よりもい見てない人はなんのこっちゃ、だと思うんでスルーしちゃってください。
できればよりもい見てからまたどうぞ。
アニオタ以外が見ても面白いっすよ!(たぶん)

報瀬母・貴子のモデルの1つになったであろう田邊優貴子さん(少なくとも本においては)。
田邊さんは生物学者、貴子は作中から察するに天文系の人。
学問のジャンルは違えど、〝すてきな地球の果て〟を読むときっと貴子の〝宇宙よりも遠い場所〟もこんな南極への好奇心と感動と愛情に満ち溢れた本だったんだろうな~と思う。

でも、そんな本を残して母:貴子は南極から帰ってこなかった。
そして取り残された娘:報瀬。

当然本を読んでも母の想いや感動を素直に感じられるはずもなく、ただ戸惑うばかり。
意を決して南極に向かうも、実際に南極に立ってもその気持ちは変わらない。

戸惑いもがき続ける中、仲間の助けでついに長年の想いが溶け出し決壊した報瀬。

作中では描かれなかったけど、きっと帰ってから(あるいは帰りの船旅で)お母さんの〝宇宙よりも遠い場所〟を読み直したんだろうなぁと。
どんな気持ちだったんだろう。
ちゃんとお母さんの想いは伝わったかなぁ。

あぁ、そんな想像をするとまた涙が…。

ってな感じで、よりもい という作品を味わう上でも〝すてきな地球の果て〟は結構意味のある1冊だと思う。
よりもいを楽しんだ人はぜひ手にとってみてください。
ホントに南極に行きたくなるかも!?