凍える魂持ちたる覇王
紅蓮の炎に眠る暗黒の竜
理を外れて重なりしとき
我が前に立ち塞がりし
すべての愚かなるものに
我と汝の力もて
すべての邪悪を閉じこめたまえ
《氷結気象魔法・エターナルフリージングレイン!》
この冷たい雨に触れた者は全て凍りつく。
そして死ぬ。
はい、未だにドラグ・スレイブの呪文詠唱が脳ミソにこびりついて離れないアラフォーです。
死ぬまで覚えてたら使えるようになったりしないだろか。
そんな与太話は置いといて、2日の北海道のあちこちで色んな物が氷漬けになる“雨氷”が起きたそうな。
twitterで“雨氷”を検索すると楽しい画像や動画がいっぱい。
ちょいちょい馬とのコラボ写真が出てくるあたりが北海道らしくていい感じw
さて、この雨氷。
細かいことを言うと、「過冷却状態で降ってきた雨(着氷性の雨)」が地上で何かに触れたとたんに凍結して、対象物を氷で包んだ状態にするってな着氷現象です。
真っ白な脆い氷が着く霧氷や雪がくっつく着雪とは違って、透明で固いホントの氷が着くってのがポイント。
日が当たるとキラキラして本当に綺麗だけど、密度が高いから重さで木や電線・電柱が折れたり倒れたり、道路がツルッツルになったり、電車の架線を氷でコーティングして通電できなくなったり…しかも固い!となかなかの厄介者。
おまけに発生には微妙な気温条件が必要で、予測的には着雪と一緒くたにしてるってのが正直なところ。
とりあえず、どんな気象条件が必要なのか、今回どうだったのかってとこをまとめときます。
まず、どんな気象条件が必要なのか。
基本的に大気は上空ほど気温が低いのが素直な状態。
降り物(降水)が雪になるか雨になるかは上空の気温次第で決まります。
上空の気温が全部マイナスなら雪、地表付近の下層で気温プラスの層が厚ければ途中で溶けて雨。
その中間がみぞれと話はシンプル。
実際には気温以外に乾燥具合や降水強度も絡むんで予測しやすいかってのは別の話だけど…
ところが、地表付近より上空の方が気温が高いってなひねくれた状態、“逆転層”が時々できることがある。
そして逆転層の上下で気温がマイナス→プラス→マイナスなサンドウィッチ構造ができたときがややこしい。
落ちてくる降水粒子は雪→溶ける(雨)→冷える(冷え具合で氷or過冷却水)ってな変化を経て地上に落ちてきます。
今回はちょうどこんな条件が整って雨氷や凍雨(透明な氷の粒)が起きたわけ。
それじゃ次に実際の気象データで確認。
こちら、3月2日9時の天気図と衛星画像。
温暖前線の位置がミソで、地上の前線は北海道の南側だけど前線から前面に広がる雲&降水はすでに広く北海道にかかった状態。
アメダスデータで地上を見ると確かに気温はマイナスで北風。
でも、実はこのときすでに上空には温暖前線を滑昇する暖かな空気が…
ってのを、釧路の高層観測(エマグラム)で確認。
900~850hPa(高度約1000~1500m)あたりに気温がプラスな層があるのがハッキリ見えてます。
1日2回しかない高層観測だけどナイスタイミング!
以上、模式図に前線と南北を追記するとこんな状況だったってことになります。
なかなか面倒なことにはなるけど、なかなかのレア物で面白い現象。
遭遇できた人は“アタリ”だったと思って冬の気象現象&景色を楽しんでくだされ。
うらやましい…
コメント
「まず、どんな気象条件が必要なのか。
基本的に大気は上空ほど気温が高いのが素直な状態。」
これは明らかに誤りですよね。初心者の方は混乱するかもしれないので、修正しておいた方がいいかなと。
ほんとだ、間違ってました。ご指摘ありがとうございますm(_ _)m