南極観測隊と“しらせ”の静かなる旅立ち

南極

まもなく第62次南極地域観測隊、しらせ@海上自衛隊が南極に向けて日本を離れる季節。
もちろん新型コロナ騒動と無縁とはいかず、イレギュラーだらけの計画が最終決定になりました。

ぼくら60次越冬隊の帰路を含む、61次隊の動きがこれ。
海洋観測を多くとるために昭和基地での活動を短くしたけど、だいたいスタンダードな流れです。
第156回南極地域観測統合推進本部総会@文部科学省の資料から引用・加筆

先行して日本を離れたしらせを観測隊は空路で追いかけ、フリーマントル@オーストラリアで合流。
様々な海洋観測をしつつ昭和基地へ。

昭和基地を離れた後はまた海洋観測。
そしてシドニーで観測隊はしらせを下船、空路で一足早く日本へ帰国。

ほぼ予定通りで動いたとはいえ、南極を離れてオーストラリアに向かってたのは2020年2月~3月。
世界で新型コロナが流行するも、ネットは繋がらないもんだから船の中で入ってくる情報は断片的。

中国で新型ウイスル?へー
なんか世界的に大騒ぎになりつつあるっぽい
オーストラリアで久しぶりの文明圏を味わうのに水差されるのなぁ
ってか、それどころか入国できない&空路使えない??

日々話が大きくなって自分たちの予定がどうなるかよくわからないモヤモヤ感を味わう船旅でした。
情報収集と調整に奔走してくれた関係者の皆さんに本当に感謝です。

そうやってなんとか滑り込みで対応できた61次隊に比べ、62次隊の出発が迫る今は依然として新型コロナ禍の真っただ中。

それじゃどう動くかというと…こちら。
第157回南極地域観測統合推進本部総会資料@文部科学省から引用

・まっすぐ行ってまっすぐ帰る!
・往路も復路も補給なし!
・越冬隊&最小限の夏隊で構成された観測隊
・観測隊も日本から海路で出発
越冬交代と物資輸送が最優先、本当に重要な所だけを残したシンプルな計画になってます。

元々の計画と比較した資料も。
せめて補給だけでもできたら、なサブプランも用意してたけど見ての通り新型コロナは落ち着く気配なし。
本当に最低限のプランで行くことが確定。

何かと行動が制限されて準備が大変だし、出発前の感染リスクもピリピリせざるを得ない。
壮行会の類は全部なし。
友人や親族との挨拶まわりも気軽にできない。
準備を終えたら、静かにそっと出発。
なんとも物悲しい旅立ちになる62次隊です。
南極の長旅を実際に味わい、これから出発するメンバーをサポートする立場として関わってきたから余計に寂しい気分。

航海の面からも無補給による燃料制限はツラいだろうなぁ。
昭和基地接岸予定も前倒しのプランだし、氷が変に手強い状態になってないことを祈るばかり。
頑張れしらせ&海上自衛隊!

こうしたマイナスな面がいっぱい浮かぶけど、観測隊として激レアな海路での赤道通過を体験できるってのはちょっと羨ましい。

真上からジリジリと照りつける太陽、強烈なスコール、風が無く鏡のような海。
南極と対をなす世界を1度で両方味わえるとはなんと贅沢な航海!
南極行きを希望するような物好きにはそんな前向き思考な人も結構多いんじゃないかなとw

赤道通過といえば、船乗りの伝統“赤道祭”に参加できるのもポイント高し。
大航海時代から特別な意味合いを持ってた赤道通過。
しらせでも“神さまに赤道の門を開けてもらう”って意味合いの神事、つまり祭を盛大に行うそうな。
知ってる人が帰ってきたらどんなだったか聞いてみよっと。

※サムネ画像はシドニーで夜逃げのごとく早朝にひっそりと下船したときの写真。今回の出発もこんな感じになるのかな…

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