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山の天気の不思議~寒冷前線通過で気温上昇?

やっぱり春先の悪天は対応が難しい!
そして山の天気は奥深いです…。
「寒冷前線が通過したら気温が上がる」なんて予報士試験で書いたら即刻アウトな現象が実際には起きちゃうんだから。

天気が悪いときは山に行かないが基本的なスタイルだけど、めずらしく悪天が予想されてる中、山(の麓)で過ごす機会があったんでその記録です。

2月28日から3月1日にかけて、乗鞍岳の麓、一の瀬園地エリア(標高1600mくらい)で過ごしてきました。地理院地図より

28日から1日の天気図を並べるとこんな感じ。

日本海で発達する低気圧に南からグイグイと流れ込む暖気。
事前の予想資料では、暖気のピークとなる1日朝には長野エリアでも850hPaで+3℃に届きそうな勢い。

夜から早朝にかけて少しまとまった雪、朝には雨に変わってビチャビチャになるんじゃないかなぁ。そして寒冷前線が通過したあとは軽い寒気移流で気温はさがるけど天気はある程度落ち着くんじゃないか。
そんな予想をしながらのツェルト泊。

夜になって寝付く頃には雪が降り初め、ずーっと降ってるなぁと感じつつウトウト。
計算外だったのが降り積もる雪のせいでツェルトがどんどん狭くなるw
しかも隣のツェルトとの間でまったく余裕スペースのない張り方したもんだから、ツェルトとツェルトの間に雪が溜まって押しのけることもできない…。

そして早朝5時過ぎに起床。
まだ降り続ける雪の中、遠くから響く雷鳴。
あぁ、寒冷前線のお出ましか…。

次第に近づき太くなる雷鳴。
フラッシュのような雷光にも照らされ、バチバチと1cm弱の雪あられも登場(雹と呼ぶには密度の低い玉)。
あとから振り返ればポールやシャベルの先から〝セントエルモの火〟見れたかも、なんて呑気なことも思ったけど、当時は炊事テントに逃げ込んでさっさと過ぎ去ってくれるのを願うばかりでした。

30分くらいで雷祭りは終わり、天気も小康状態に。
それじゃと撤収作業をしてると雪が雨に変化。
ありゃりゃ、寒冷前線が通過して気温下がるはずなのに雨??なんて困惑しながらの撤収作業。

その後、昼前にはしっかり気温が下がって再び雪に。
そうそう、これが寒気移流の天気だよね。
さっきのはなんだったんだ?

そんな変化の2日間でした。

まとまった雪が降るとわかってたのに〝降ったらどうなるか〟を想像&設営に反映できなかったのが今回最大の反省。

天気が悪くなると知ってるだけでは意味がない。
その状況下で何が起きると想定され、その対策として何ができるか。
そこまで想像力を働かせてこそ、山の悪天対応なんだなぁとしみじみ実感しました。

あと、現地ではうまく理解できなかった「寒冷前線通過で雪から雨に」の謎は山を降りてから再検証。
ちょうど乗鞍エリアの近くにアメダス奈川があって、ここのデータがいいヒントになりました。
※天気図的には寒冷前線か閉塞前線か微妙な位置だけど、寒冷型閉塞だし雷鳴りまくりだし寒冷前線ってことで進めます

レーダーや天気の変化から考えて寒冷前線の通過はまちがいなく7時頃。
でも奈川では8時過ぎまで気温が低く風の弱い状態が継続。
そして、8時半頃に風が強まると共に気温が急上昇。

この風と気温が連動しての急変化、おそらく〝滞留冷気層の破壊〟によるものです。
※8時まわりの風は欠測してるけど、たぶん弱い状態続いてたはず。あと、近いとはいえ一の瀬園地より標高は500mほど低いことに注意。

教科書的な大気は高度が上がるほど気温が下がる構造。
ただし実際にはちょくちょく地面付近の気温が低く、上空の方が気温が高い〝逆転層〟が形成されます。
そして逆転層の上下では空気の性質が大きく異なり、混じりにくい状態になることがしばしば。

逆転層の成因は
地面付近が放射冷却や降水による冷却で冷えるパターン
前線や低気圧の前面で上空に暖かい空気が流れ込むパターン
など色々。

おそらく今回は両者のミックスで、低気圧に吹き込む暖気の中で地面付近(特に凹部)に降水粒子に冷やされた空気が取り残されたパターン。
そっと残された冷たい空気の中にあるうちは低温&弱風。
寒冷前線の通過に伴いこの空気が吹き飛ばされたことにより(相対的に)昇温&風速増大。
そんな変化をアメダスの気温&風速から読み取ることができます。

こんなふうに後から推測する知識は持ってても事前にそんな予測はしてないし、実際に山の中で体験するのは初めて。
つくづく山の気象条件を予測するのは難しいなぁと…。
ほんと、いい勉強&経験になりました。

ちょっとした条件の差や局地的な影響で雨と雪の境目が変わる春先の山。
穏やかな時はほんとに穏やかだけど、いざ変化する気象状況への対処という意味では厳冬期よりよっぽど難しい。
春の山はそんな危険性も含むことを忘れずにお楽しみください。

最後に。

なんでこんな天気の中で乗鞍にいたのか。
この理由は近いうちに改めて。

やまない雨はない。でも、しつこい雨はある。

昨日、3月9日夜の関東の雨。
オホーツク海&本州の東海上の南北・低気圧コンビから伸びる前線はゆっくりと東へ進み、関東地方の雨は日付が変わる頃にはだいたい抜けていく・・・はずでした。

ところが、雨はしつこく残り日付を越えてなお強まる始末。なかなかのハズレっぷりでした・・・。

高解像度降水ナウキャストより

このしつこい雨の原因となったのは、西から進む明瞭なトラフ。
そして、このトラフに捕まってしまった本州東海上の低気圧。9日21時の衛星画像(水蒸気&赤外)

どう予想がズレてしまったのかは天気図からも読み取ることができます。

こちら、9日21時を予想した予想天気図。

そして、こっちが実際に解析して作成された天気図。

日本の東側に南北に連なる低気圧&前線。西は大陸から張り出しつつある高気圧、という全体的な絵柄はそんなに変わらない。

でも、関東地方周辺に着目して比べると大きな違いが。
低気圧の位置は予想よりも南側にとどまり、さらに低気圧から関東地方にのびる気圧の谷(赤点線)。
この気圧の谷は北寄りの風と西寄りの風が接する境目(シアー)になっていて、トラフに反応してこのシアーから北側に雨域が広がる。
そんな構造になってました。

さっさと低気圧やシアーが東に進めば雨は終わり。
でも、移動が遅れるとトラフに捕まって長引く&強まることに。
こうしたちょっとしたタイミングのズレが大きく結果を左右することが時々あります。

ちょっと長引くかもなぁとは感じつつ、ビシッと予測するのはなかなか難しい事例でした…。

寒空に捧げる反省文~2018/2/22&23~

ひんやり、しっとりだった昨日(22日)と今日(23日)の関東。
特に昨日はキャッチボールの準備してたら砲丸が飛んできたくらいの不意打ちっぷりだったんで、簡単に振り返り&反省の弁を…。

こちら、21日に作成された22日朝の予想天気図高気圧が張り出して関東はそこそこの天気に…と言いたくなるけど、北に偏って張り出す高気圧には要注意。
高気圧の縁辺を回り込む湿った北東~東風が入りやすくなり、数値モデルも表現しきらない思わぬ曇天を引き起こすかも、と警戒するのが予報担当の役目。

今回は関東から東に伸びるに赤線で書いた気圧の谷(下層シアー)も予想され、これはまず晴れないパターンだろう。
晴れるどころか弱いシトシト雨がしつこいはず。
そんな簡単にはだまされんぜ!

…と読み切った気分になってたのが21日のぼく。

そして22日の朝。

シトシトどころか普通に降ってる!?
そして予想以上に寒いっ!!

何事かと確認した衛星画像@ひまわりリアルタイム
そこで目にしたのは関東の沖合いで怪しげにまわる雲の塊…。

天気図的には前日の予想がほぼバッチリ。
ただし、関東沖の下層シアーには弱いながら小さな低気圧もどき(メソ擾乱)が顕在化。
こいつが予想以上にせっせと湿った東風を関東に送り込み続け、その結果しっかり雨&やたら寒い1日を作り出してくれました…。

沖合の雲域がやんわり渦を巻く様子はひまわりリアルタイムの動画で見るとわかりやすいです。

そして今日も午前中はしつこく北~東からの湿った風が残り、なかなか晴れないパターン。
2日続けて読み間違えてたまるかと気を付けて予想したけど、それでも天気の回復は遅れ気味。
しかも気象台によっては「今日こそはさっさと晴れるはずっ!」という想いを込めた予報を出して再び撃沈。
2日連続でハズレ感の強い結果になってしまいました…。

嫌がらせのように張り付く関東の下層雲。

あれ?こんな予報だっけ?と思ったときは衛星画像ウィンドプロファイラ@水戸で鉛直シアー(上層と下層の風のズレ)をチェック。
あ、この境目にやられたんだな、と頭を抱える予報官の姿を想像しながら空を眺めてやってください…

やる気がないけど性悪な寒冷前線もある

昨日、11月4日に本州を通過した寒冷前線。連休中の寒冷前線通過、しかも通過後の寒気は少し強めの予想だったんで気にかけていたんですが…。
重要な視点が抜けてたので反省をこめてご紹介。

寒冷前線の通過というと「強い北寄りの風に変わって気温も急降下。強い雨や雷を伴う。」ってのをイメージする人が多いんじゃないでしょうか。
もう少し詳しく書くなら、上層の気圧の谷(トラフ)の前面(東側)で低気圧が発達。低気圧&トラフが東に抜けたら後面からドッと押し寄せる下層寒気。この下層寒気移流の先端が教科書的な寒冷前線です。

そんなイメージを抱きつつ4日朝の天気図、アメダスの風、衛星可視画像を見てみると…

寒冷前線が通過した後というのに関東はそよそよとした北風。確かに本州の南に帯状の雲(青線)はあるけど、なんか日本海にもっと元気そうな雲の塊(赤丸)が。
ハッキリ言って、いつのまに前線通過したの?ってくらいの影響しかありませんでした。

このやる気の感じられない寒冷前線の理由は、高層天気図と衛星水蒸気画像から見えてきます。
4日朝(9時)の500hPa高層天気図と水蒸気画像がコチラ。

寒冷前線は本州を通過したけど、上層トラフ(赤線)はまだ西に残ったまんま。例えるなら、腰(トラフ)が引けたまま足先(寒冷前線)だけちょこんと出したような状態。これじゃ強いボール(下層寒気移流)は期待できません。

昼から夕方にかけてトラフが東進すると共に本格的に下層寒気移流が強まり、天気図で表現されてる寒冷前線に遅れて〝寒冷前線らしい天気の変化〟が起きた、そんな1日でした。

事前に資料を見てた時は、昼くらいから下層寒気移流が強まりそう。きっとこのタイミングで寒冷前線を表現するだろう、の認識。
でも実際には、やや不明瞭な寒冷前線が朝に通過したあと、遅れて昼過ぎから下層寒気移流が本格化するって現象。

注意を呼びかけるべきは寒冷前線の通過そのものじゃなく、「寒冷前線の通過時は大したことないけど、少し遅れて本格的に天気悪化するから油断しないでね!」といったことでした。

素直な寒冷前線よりよっぽど性質が悪かった今回の現象。
予想天気図を見て、ずいぶん寒冷前線の通過早いなぁと感じた時点でちゃんと確認してれば気づいた話。
物事を単純化させすぎずに丁寧に見る&考えなきゃな、とつくづく反省です。

※一応補足しとくと、ぼくは確認が甘くなってたけど、予報の担当者はしっかり現象を理解した上で天気予報や注意報を判断してるはずなのでご安心を。

関東の「北東風 晴れ」予報には要注意

なが~い見事な秋雨がやっと一息ついた今日。太陽をちゃんと拝むのもホントに久しぶり。

「…って気分を今日の午後には味わえそうですよ」な雰囲気を醸し出してた昨日(17日)の天気予報。
実際にはどうだったかというと、確かに雨は昼頃で終わったけど午後もなかなか雲が取れずに日差しはおあずけ。
あれ?話が違うぞ…と思った人もいたんじゃないかと。

この17日夕方(16時)の雲を見ると、関東の南海上に広がるしっかりした雲と、関東平野に広がる少し不明瞭な雲に別れてました。

南の雲は前線に対応する厚い雲。関東平野の雲は地表付近の北東風と少し上空の空気の境目に広がる薄くて低い雲。

ここで大事なポイントは、南の雲は数値予報が表現するのが得意な雲で、関東平野の雲は数値予報の表現が甘い雲ってこと。

関東平野に北東風が入り込んでる時に、予想してなかった薄ぺっらい雲が広がるってのは関東の晴れ予報がハズレるときのお決まりパターンのひとつ。
担当者は北東風の存在&曇る可能性は把握した上で、北東風の強さや各層の湿り具合をチェックして「今回は素直に晴れるはずだ!」と決断しての晴れ予報。
…なんだけど、読みが外れることもしばしば。
今回もそんな典型例の1つでした。

南関東で「北東風&晴れ」な予報が出てるときは、ホントに晴れるかな~と空を見上げてもらうと天気を楽しめると思います。アメダス&衛星画像も合わせて使うと楽しさ倍増。

ちなみに、予報になかった北東風は天気も気温も大ハズレを告げる〝不吉の風〟。
少し前の10月11日は完膚なきまでに凹まされるこっちのパターンでした…。

天気予報と予報官の仕事

今日の関東は予報官殺し。
数値予報は「東側の低気圧から湿った北東風が続くけど日中は消散して晴れる&気温あがるよ~」と言うけれど、実際には下層雲がなかなかとれず晴れないし気温も上がらない。そんな典型的ハズレパターンのひとつ。
まあ今回はかなり下層の湿りがしっかりしてたので、分かりやすい方ではありました。

どんどん進歩して精度があがり続けてる数値予報だけど、やっぱり外れる時は外れる。そんなハズレパターンの匂いをできるだけ早く嗅ぎとって、いかに先読みして適切な予報を出していくか。
そのためには実況データと予測データの両方から気象現象を解析&理解する力が必要不可欠。
これがまだまだ人が天気予報に関わっていく必要がある理由のひとつだと思ってます。

ただし、数値予報がどんどん賢くなってるせいで実際に逆らうには相当な気合いと根拠が必要になりつつあるのも事実。
「こうなる気がするけどモデル(≒数値予報)通りになるとハズレ感が半端ないから折衷案のこの辺で…」→「やっぱりこうなったか…」なんてこともよくある話。
特に深読みしすぎてモデルに逆らった上で予報を外した後は、しばらく自分を信じるのが怖くなったりもします(涙)

そんなモデル変更恐怖症の最中でも目先の実況は間違いないわけだから、せめて実況にあった予報は出していくべきところ。 
…ではあるけど、細かい予報を出そうとするほど人が主観的に変更するのは作業的に厳しくなる。
実際、身の回りにあふれる天気予報の中にも、どう見ても人が触ってないよね、な予報があるのも事実。
たとえばこんな感じで…。
どこの予報会社とは言いませんが、いくら何でも人が介入してるなら今日の関東で「晴れ」はないだろうなと。(※分かりやすい例として拝借。手作業とみられる下の〝天気概況〟はちゃんとした内容でした。)

ただ、これはダメだろ!と糾弾だけする気にもなれなくて、今の数値予報の精度を勘案した上で限られた人と時間のリソースをどこに投入するか判断した結果なんだろうなと。
いわゆる〝天気予報〟は一番目につく存在だけど、それだけじゃなかなかお金に繋がらないのも難しいところ。
人とお金の削減の流れが止まらない気象庁にしたって、いつまで人が手間暇かけた天気予報が出せるのかと考えてみるととても他人事じゃないです。

とりあえず、世の中に出回る天気予報が全て人がしっかり介入してるわけじゃないことを知っておいてください。

特に〝山の天気予報〟っぽく見せてるサイトには、数値予報の解像度や精度、山の地形や天気の局地性などなどを全部無視して、単純に近くの数値予報の値だけを垂れ流してるようなとこも。
天気図などから広い範囲の大まかな雰囲気を把握した上で、あくまても参考程度に利用するのがオススメです。

じゃあどうやればいいの?をまとめようと思って始めたサイトなのに、全然取り組んでないなぁ…なんて反省も少し。
何を、どの順番で、どこまで学べばいいか。いざ作ろうとするとなかなか考えがまとまらないなぁと。
おいおいやってこうと思います。

冬の天気のハズレ方(冬型気圧配置編)

昨日、11月16日は結構晴れまっせ、な予報が出てました。

しかしっ!!

結果は憎たらしい雲が関東南部に張り付き、神奈川~東京~千葉エリアはたまに日が差した程度。
見事な惨敗っぷりでございました・・・。

冬型気圧配置で関東は晴れるよ~って言ってたのに!という冬の定番ハズレパターンのひとつだったので反省をこめてご紹介です。

16日朝の天気図と広い範囲の衛星画像はこんな感じ。spas_20161116-09vis_20161116-09

ちょっと緩みつつあるけど北日本を中心にしっかり冬型。

日本海は大陸から吹き出す冷たい北西風で覆われ、(相対的に)ポカポカな日本海でたっぷり熱と水蒸気を補給して筋状の雲がビッシリ。
そして日本列島にぶつかって山でたっぷり雪や雨を落とし、太平洋はスッキリいい天気。

これが冬型気圧配置のお決まりパターン。

・・・だけど、よく見ると関東の南海上にももうひとつの冬型気圧配置のお決まりパターンが。

静岡県の沿岸から南東に伸びるひも状の雲と、その北東側に薄っぺらく広がる雲。
水色で地上付近、赤色でもう少し上の風を落書きするとこんな感じ。
vis_20161116-09-3chubu-chikei
長野を中心とした中部山岳地域は標高が高いので冬型の北西風も通るのを嫌がって、標高が低い滋賀~愛知から、あとは山が比較的薄い北関東が吹き抜けやすいポイント。
この東海からの西よりの風と関東~東北からの北よりの風ががぶつかってるとこに上昇気流ができて、このひも状の雲が誕生。
そしてこの雲はすこし上の風に流されて関東南部に広がってるってな構造になってます。

この流されてくる雲の厚みはかなり薄く、どこまで広がるかの判断がなかなか難しい。
今回は思った以上に雲ができやすかったのと、北への広がりが強かったため予報が思いっきり外れてしまいました…。

ちなみにこのひも状の雲を「ならいの土手」と呼ぶ地域もあり、詳しくは<ならいの土手@成介日記(HALEX)>をどうぞ。

今回みたいに地上付近とすこし上空で風の向きや強さが大きく違う状態を「鉛直シアーが大きい」と表現します。
この様子は千葉県勝浦にあるウィンドプロファイラという上空の風を観測する機械でバッチリ見えます。
wpr-katsu_20161116-09
だいたい地上~高度1kmまでの層は北東風、その上の高度2~3kmに南西風が乗り上げてる状態。
こういった鉛直シアーが大きい状況は、関東に北東気流が入って曇るときも同じ。
たとえばこんなとき→<オホーツク海高気圧と山の天気>
関東平野は西側の中部山岳の影になり、鉛直シアーが大きくなりやすい地形。
それが悩ましい天気のもとになることも多々あります。

ウィンドプロファイラは上空の風の流れが見えるから山に登る人も結構参考になるはず。
あいにく沿岸部が中心で内陸には少ないけどウィンドプロライラについて詳しく知りたい人は<ウィンドプロファイラについて@気象庁>をどうぞ。wpr_map

秋の天気予報のハズレ方

今週末は久しぶりに日差しが戻りそう。何しよう!と期待してた人も多いはず。(ぼく含む)
ただし、相手は秋の停滞前線。
なんとなく嫌な予感はしてました・・・。

特に今年は秋雨前線がハッキリクッキリ、そして見事な停滞っぷり。
梅雨と同じく天気予報が非常に難しい、そしてハズレやすい状況です。

22日に作成した2日後(つまり今日、24日)の予想天気図がこちら。fsas48_20160924-21日本の東にある低気圧から延びる前線は短くなり、日本付近の前線は不明瞭化。前線の名残りが本州の南にあるけど天気はそれなりに回復。そんな予想でした。

ところが・・・

こちら、23日に作成した翌日(こちらも今日、24日)の予想天気図がこちら。上の天気図と同じ時刻を予想した天気図です。fsas24_20160924-21消えてるはずの前線がしっかり表現され、さらに思いっきり本州にかかる予想に。
当初の予想より前線がハッキリ残る&場所も少し北側になりそう、の2つの変化からかなり予報が悪目に変わってしまいました。
前線から離れてる順にこんな感じ
 北陸:晴れるよ!→少しは晴れるはず
 中部:そこそこ晴れるよ→やっぱ晴れそうにないです…
 関東~東海:少しは晴れるよ→むしろ雨、ごめんなさい!!
fore_20160924-05

予想が変わったのは停滞前線の不確実性といってしまえばそれまでだけど、もう少し具体的に見つけるならこれから近づくトラフ(気圧の谷)が思ってたよりハッキリしてるってことになりそう。
水蒸気画像で西から近づく黒い部分がそのトラフです。wv_20160924-0500

停滞前線がダラダラと居座る中、こうしたトラフが近づくと前線は活発化&少し北上し、時には低気圧が発生することも。
この仕組みは季節を問わず、停滞前線の定番です。
今年の梅雨の実例⇒<梅雨の天気予報のハズレ方>

救いとしては、トラフが抜けた明日こそはそこそこ天気が回復しそう。
そして、前線がある=日本付近で夏と秋の高気圧が押し合いしてるおかげで、台風17号は日本に近づくことができず南の海を西に素通りしそうってこと。t1617_20160924-03

念のため最新の天気予報を確認しつつ、予定の立て直しをお願いします・・・。

山梨でテント泊BBQを考えてた我が家もこの悪天と、チビすけの発熱というWパンチであえなく予定変更。
どっちも仕方ないもんだと諦めてます・・・。

大雨と雨の境目

少し前に書いた、梅雨の天気予報のハズレ方
またもや同じような事例があったので反省をこめて。

南関東に住んでる人で「昨日(7/9)大雨って言ってたのにあんまり降らなかったなぁ」と思った人も多いんじゃないでしょうか。
はい、まったくもってその通りです…。

今回の雨は、雨の元となる暖かく湿った空気(暖湿気)がどこまで北上するかが予想の肝。
関東にはこの暖湿気がしっかり流れ込み、内陸部でもまとまった雨になるとの予想でした。
・・・が、実際の天気図の経過がこちら。
spas_20160709-12_18

前線は性質の異なる空気の境目をあらわすもので、今回は南からの暖湿気の北限が前線です。
しっかり関東の内陸に入ると予想していたのに、実際には関東の沿岸をスルリと通過。
暖湿気&大雨はほとんど海上だけで終わってしまいました…。(赤い線より南側は結構な雨)
rad_20160709-1400

大きな状況(暖湿気が来るよ、来たところでは大雨になるよ)は予想通りだったけど、どこまで入るかの予想が外れた。
その結果、大雨のはずが大したことない雨に。
さらにセットで風の強さや気温の予想も外してます(弱い&低かった)。

「あれ?雨の予報外れてない?」と思ったとき、レーダーで少し広く見ると“惜しいハズレ”だったかどうかわかるのでぜひお試しください。
予報がどう外れた・外れるのかを意識するようになると、天気予報との付き合い方はグッと上級者に近づいてきます。

関東の場合、今回みたいに沿岸部を通る南岸低気圧の時に「南風が入るはずだったのにっ!」は予報が外れるド定番のひとつ。
南岸低気圧が予想されてる時は、ホントに当たるかな?と少し意地悪な目で見てやってください。
そうすると天気予報を楽しめると思います。

さて、今日は昨日からガラッと状況が変わり本州は広く晴れています。
衛星画像を見ると、前線に対応する帯状の雲はずいぶんと南に下がり、本州はいい感じに雲の隙間に。
vis_20160710-1000
この状況、明後日(7/12)の前半くらいにかけて続きそう。
気温があがる&上空には少しだけ寒気が入っているので、午後のにわか雨や雷を少しだけ気にしつつ好天を楽しんでください。
あぁ、ぼくも山に行きたかった…。
fsas48_20160711-21

梅雨の天気予報のハズレ方

梅雨時期の天気予報が外れやすいということを紹介した前回の記事:梅雨の天気予報との付き合い方
これを書いたからというわけじゃないと思うけど、関東地方で見事に予報が外れた事例があったのでご紹介します・・・。

2日前(6/19)に作成した今日(6/21)9時の予想天気図がこちら。
fsas48_20160619-09メリハリなくだらんとした梅雨前線が東海~関東付近では少し南に下がって海の上にある予想。
よって、関東地方は曇りで雨はほとんど降らないという予報を出していました。

しかし、これが1日前(6/20)に作成した予想天気図だとこうなります。
fsas24_20160620-092日前(6/19)ではすんなり南に下がると思っていた前線はあまり下がらず、さらに近畿地方には低気圧が発生するとの予想。
低気圧の発生、それは天気にメリハリが出るということを表します。
そして「曇り」だった天気予報は、「やっぱり雨が降りそう」に変わることに。

そして結果。今日(6/21)、実際の観測データから作成した9時と15時の天気図がこちら。
spas_20160621-09spas_20160621-15前線は1日前(6/20)の予想よりもさらに北側になり、低気圧も関東の南海上ギリギリを通過。
15時の天気図では低気圧の前(東)側は温暖前線、後ろ(西)側は寒冷前線となり、より一層天気にメリハリが出たことを示しています。

実際の天気をレーダーと衛星画像から見てみます。
まずは6/21 9時と15時のレーダー画像。rad_20160621-0900rad_20160621-1500

続いて6/21 9時と15時の衛星画像。
vis_20160621-0900vis_20160621-1500

このように2日前には『前線がだらんと南に離れて曇り』予想が、実際には『前線が近く&低気圧も通過。まとまった雨のち晴れ』になってしまいました。
あとからこの予想&実況を振り返ってみると色々と反省点も見つかるけど、正直なところ2日前の時点でこれを予想するのはかなり困難な事例だったかと。

このように、梅雨時の天気予報は本当に難しく外れやすいため、常に最新の予報をチェックすると共に柔軟に対応できるプランの準備をオススメします。
もちろん天気予報の関係者は誰しも当てようと頑張っていますが、すぐにバッチリ当たるようになることは無いと思うので・・・。