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空に輝く太陽の指輪『幻日環』

内陸旅行から帰ってきて、溜まりに溜まった仕事とひたすら闘うこと3週間。
いい加減に気分が煮詰まってきたところに久しぶりの野外オペ。
雪上車に乗って初の沿岸エリアへ!

向かったのは昭和基地から約30km離れたラングホブデ。
目の前に広がる南極らしさ溢れる景色に心が生き返るのを感じるひと時。

でも、やっぱり南極。
きれいだな、だけじゃ終わらない。

太陽が沈まない白夜が始まり、気温も日中0℃近くまで上がるようになったせいで海氷が融け始めた。
これまでは固く凍ってたクラックも氷が緩み、危なそうなところでは道板を渡して進む。

はぐれペンギンとの出会いも素敵だったけど、水たまり&ボロボロになった海氷はちょっと落ち着かない。

そして渡れないとこは渡れない。

色んな意味で夏になったことを実感しつつ、消化不良な野外オペ終了。

自然相手だから予定通りにいかないのは仕方ない。
かなり残念だったけど、その変わりに素敵なプレゼントをくれた。

薄雲が広がってたこの日。
きれいにハロ出てるなーと眺めてた。
お、いつの間にか幻日もちょっと出てる。

あれ、幻日から横にのびるラインも見えるような…

のびてる。めっちゃのびてる。

ってか空を1周しとる!!

空全体を使った見事な太陽の指輪、これが『幻日環』。
向きが揃って上空にただよう六角柱の氷晶側面で太陽光が反射することで見える現象。

太陽~幻日を繋ぐラインは幻日とセットで出ることもあるけど、丸っとフルサイズで出ることは相当レアらしい。
ぼくが見たのも初めて。
その大きさと不思議な光景にかなり感動…

惜しむべくは手持ちのレンズじゃ広角が足りず全体像を捉えきれなかったこと。
でもまぁなんとか分かるくらいには撮れたからよかったのかな。

相棒OM-D E-M5で使ってる主力レンズは35mm換算で24-80mm。
ハロを撮るとこんな感じ。

そしてボディキャップにレンズが付いた、なんちゃって広角レンズを使うと35mm換算で18mm。
これだけ余裕のある絵になる。
ほんとにもう少しだけ広ければ幻日環もバッチリだったんだけどな…惜しい。

ボディキャップというだけあって小さいし、何より手ごろな値段で広角気分が味わえる。
マイクロフォーサーズ使いで空が好きな人は持っといて損しないかも。

久しぶりの昭和基地!

南極大陸内陸部での活動のため、内陸旅行隊として昭和基地を離れたのが10月18日

6人の仲間と、3台の雪上車。

無限に広がる白い大地をひたすら進む。

風が作り出す雪の造形:サスツルギの荒波も超えつつ…

移動と作業、そして車中キャンプの日々。

昭和基地から270km離れた標高2230mのみずほ基地。
ここに天文台を作ろう!とか言ったとか言わなかったとか。

最終的にはさらに奥、昭和基地から約350km、標高約2500mのあたりまで行ってきました。

共に旅した内陸旅行隊の仲間たち。
そして、越冬隊員31人のうち6人が抜けた状態で昭和基地の生活や業務を維持した仲間たち。

2週間ちょっと、それぞれ大変な時間だったと思う。
本当にお疲れさまでした。

内陸旅行がどんな生活だったか、どんな作業してきたか。
ぼちぼちと紹介してこうと思います。

最後に、帰ってきた昭和基地で記念撮影。
よりもい愛があふれる隊員の力作と共に。

完成度高けーなオイ。

ブリ去りぬ、そして旅立ち

10月14日から17日にかけてなが~く暴れたブリザード。
今回は3段階級のうち一番上のAブリ。
さすがAブリ!って感じでまぁ暴れてくれました・・・。

職場でありブリ中の監禁先?である気象棟が埋まるかと思った。

ってか、実際にドアがいっこ埋まったw

ブリ明けは観測機器のメンテやら除雪やらで大忙し。

色んな隊員の協力のもと、気象棟もなんとか元の姿に近づいた。

そんないつもの作業の傍ら、いつもとちょっと違う作業も。

大陸用の雪上車SM100をいっぱいこと動かしたり

雪上車用のソリに荷物を色々載せたり

ってなわけで。

今日から2~3週間。

南極大陸のキワにある昭和基地を離れ、ググっと内陸に行ってきます!

内陸に進みつつ色々な観測をする、通称:内陸旅行。
ホントは10月の頭くらいに出発予定だったけど、天気が悪すぎてただひたすら待ちの時間。
焦らすに焦らされたトドメがAブリでしたw

ブリ直後の作業が色々重なって出発前からやたらと疲れたけど、ついに待望の出発の日。

まだ見ぬ世界を楽しんできます♪

ぼくはしばらくネットが使えなくなるけど、南極の最新情報は色んな人が発信中!

南極Youtuberの南極おじさんや、なぜ南極なのかは分からないけどモノづくり名人の南極悟空
そして日々の様子を一番こまめに発信してるサンシン片手に南極へ

もちろん公式情報の昭和基地NOW!!@極地研究所もお忘れなく!

南極に咲く花、フロストフラワー

低温、強風、そして乾燥(液体の水がない)。
厳しい環境の昭和基地周辺には木はもちろん、草も生えてない。
緑といえば、雪が融ける短い夏に所々で苔類が見れるくらい。

そんな荒涼とした冬の昭和基地にも、時々咲く花がある。

場所はここ。
昭和基地の水がめ、130kL水槽。

もうちょっと近づいてみる。
何やら白い塊がいっぱいあるような・・・

さらにアップ。

どうでしょ、この綺麗な白い花。

これは“フロストフラワー”。
直訳すると“霜の花”。
一言でいうと、でっかく成長した“霜”です。



氷と水が近い場所にあって、風が弱い状態でよく冷えた寒い日。
水からどんどん蒸発した水蒸気は近くの氷に昇華(凝華)して霜として成長。
このベストな状態が続くと霜はグイグイと成長して手のひらサイズの立派な花、フロストフラワーとして美しい姿を見せてくれる。

130kL水槽は発電機の排熱で雪を溶かして水を作る施設。
寒い冬もだいたい水槽の一部は水、そのほかは凍ってるってなフロストフラワーの成長には絶好の場所。
よく冷えた風の弱い朝には見事な花が咲き乱れてます。
ちなみにこの写真を撮った日の朝はマイナス26℃でした。

暖かいところから冷たいとこへの水蒸気の移動&着霜。
色気のない話を持ち出すと、古いタイプの冷蔵庫で冷凍室の奥にびっしり張り付く霜と仕組みは一緒。

日本国内でも厳冬期の阿寒湖で凍結&温泉湧出による開放水面って条件が揃ってて、気象条件さえよければ見事なフロストフラワーが見れるみたい。

そういえば1月の阿寒湖に遊びに行ったことがあったけど、確かに朝起きたら色んな物に付いた霜がすさまじかった記憶が。
霜とダイヤモンドダストは見たけどフロストフラワーは気にしてなかったな。

阿寒湖のフロストフラワーは見学ツアーもやってるみたいなんで興味のある人はぜひ調べてみてください。
厳冬期の道東、ちょいとハードル高い気もするけど色々寒さを売りにしたイベントもやってるし、オホーツクエリアの流氷観光とセットで回ったりすると最高に面白い。
少なくとも南極よりは行きやすいですw

早朝の阿寒湖氷上散歩でフロストフラワーを見に行こう@北海道Likers
【冬の絶景】阿寒湖・フロストフラワー@北海道ラボ

南極の“冷たい空”と突然昇温

今回はちょっぴり気象学の匂いがする話。
日本と南極の空の違いについてです。

気象について少し勉強すると、必ず出てくる“対流圏”と“成層圏”。
普段気象現象が起きるのは地表から10数kmの厚みを持った対流圏で、上空ほど気温が下がってく。
そして対流圏の上には(対流)圏界面を挟んで、上空ほど気温が上がる成層圏。

どんなに発達した積乱雲も、どんなに強い台風も基本的に対流圏の中で起きる現象。
たまにISS(国際宇宙ステーション)から届く台風やハリケーンの写真で“薄っぺらい対流圏”を見ることができます。

圏界面の高さは季節によって変動するけど、基本的な構造は夏も冬も変わらないのが日本の気象。

じゃあ南極ではどうなってる?ってのが今回の本題です。

大気がどんな構造になってるかを直接知ることができるのがラジオゾンデ観測。
大きな風船に測器を着けて放球、高度約30kmまでの気温や湿度、風なんかを計測。
南極でも基本的に1日2回、ちょっとやそっとの強風やブリザードの中でも観測を続けてます。ゾンデ放球をするK隊員

それでは実際に昭和基地の夏のデータを見てます。
縦軸に気圧・高度、横軸に気温(&その他)を書いたグラフ。
一番上まで延びてる黒実線が気温です。

2019/2/15 00UTC、昭和Upperair Air Data@ワイオミング大学より

日本と比べると当然ながら全体的に対流圏の気温が低く、対流が弱いもんだから圏界面も低い。
それでも対流面~圏界面~成層圏って構造はしっかり見えてる。
まあ普通の姿です。

これが冬になると…こうなる。
極夜真っただ中、7月頭の観測データ。
2019/7/1 12UTC、昭和

上空に行くほど気温がどんどん下がり、圏界面を境に気温が上がら・・・ない。
ってか、圏界面はどこ??
もはや違和感しかない大気構造。

なんでこうなるかは、成層圏が暖かい理由にある。

成層圏で重要な仕事をしてるのがオゾン層。
オゾン層が太陽光線に含まれる紫外線を吸収してるってのは誰でも知ってると思うけど、オゾン層では吸収した紫外線のエネルギーを熱に変換してます。
この熱で大気が温まり形成されてるのが成層圏ってわけ。オゾン層とは@気象庁より

ところが、南極の冬には太陽の光が当たらない極夜がある。

そうなると成層圏を加熱する熱源が無くなってしまい成層圏は自然と冷却。
こうして単純に上空ほど冷たい大気構造のできあがり。

さらに南極は地形的にだいたい綺麗な丸い大陸、そして大陸の周囲はぐるっと海。
このため南極上空で形成されたとっても冷たい空気はなかなか混ざることなく、綺麗な低気圧性の渦 “極渦”として鎮座するのが南極の冬の定番です。
この極渦がオゾンホールの形成にも重要な役割を果たしてたりするけど、長くなるんでまた別の機会に。

話を戻してこの極渦。
毎年ドカッと南極大陸の上に居座るのが普通の姿だけど、ごくたまに極渦が乱れて南極上空の成層圏で気温が一気に上がることがある。
これが“成層圏突然昇温”です。

次の図は南極周辺の30hPa面、高度20数kmの気圧配置的なやつ。
去年の今頃は南極大陸の真上にいた極渦(低気圧)が・・・

今年は高気圧に横から押しのけられてる状態。
大気の循環@気象庁より

極渦は冬の北極でも形成されてて、地形的に渦が乱れやすい北極では成層圏突然昇温がちょくちょく起きる。
でも、流れが安定してる南極で起きるのはかなりレアだとか。

そしてどのくらい気温が上がるかというと、2019/8/23には昭和基地上空の10hPa(高度30km弱)で約-75℃だったのに…

1週間後の2019/8/30には同じ10hPaでなんと約-5℃!

最初に観測データからこの現象を見つけた人はそりゃもう困っただろうなとw

いま、南極のはるか上空ではこんな劇的なイベントが起きてる。
それをこうして日々の観測データで目撃してるってのはなかなか貴重な体験。

じゃあなぜこんな現象が起きてるかというと、ここで書くのはちょっとしんどい。

…というか、対流圏ばかり相手にしてるぼくには荷が重すぎ!

気になる人はとりあえず成層圏突然昇温@wikipedia
それでも満足できない人は“成層圏突然昇温”でググってヒットする論文でもご覧ください・・・

昭和基地NOW!!に登場した若者もきっとそのうち昭和基地の観測データの総力を挙げてこの現象を解析してくれるはず。
がんばれー!

ブリ去りぬ

1ブリ去ってまた1ブリ。
最近また悪天率が上がってきた気がする南極ライフ。
昨日今日とブリザード後でバタバタしてたんで簡単に記録です。

24日夜から吹雪が始まって、25日は1日中こんな感じ。
こんな天気でもメインの職場である気象棟への通勤はするし、ゾンデも上げるし、なかなか大変。

そして26日朝にはブリがひと段落。
風はまだ10m/sくらい残ってるけど、とりあえず外で動けるようになったら観測機器のお手入れ。

まずは気温&湿度計を守る百葉箱。
だいたいブリの後には中にも雪が入ってるんでさっさと除雪がお約束。

パカッと開く扉からせっせと除雪

南極仕様の百葉箱、除雪しやすいように底も開くようになってる優れ物

綺麗になった~♪

除雪が終わった後は基準となる測器と比較してちゃんと正しい値が測れてるか確認もして、そこをクリアすれば一安心。
百葉箱の他にもあちこちにある測器を確認しに歩き回るけど、写真撮るの忘れたから今回は省略で。

そして26日夜から27日朝。
たった半日の中休みが終わり、またもや20m/s級のブリ襲来。
天気が悪いと仕事が増えるのは国内でも南極でも一緒。
だってお天気屋さんだもの…

でも、今度こそブリ一過の素敵な景色!
点検に回りながらスッキリ生まれ変わった景色を楽しみます。

そして、自分が担当する仕事だけで終わらないのが南極ライフ。

たった31人で昭和基地を維持する越冬隊。
各隊員は自分の仕事を持ちつつ、お互いを助けつつ、人手が必要な作業には総当たり。

ってなわけで、ブリ明けの恒例行事:130kL水槽の除雪作業。

基本的に気温がマイナスな昭和基地。
周囲に“水”はなく、あるのは雪と氷だけ。
これを発電機エンジンの排熱で溶かして水を作ってます。

そのための大きな水槽が130kL水槽。
ここが機能しなくなると水が一切使えなくなるわけで、そりゃもう必死に作業するってもんです。

人も重機もせっせと雪かき。そして水槽への適度な雪入れ。
130kL水槽以外にも建物や道路の雪かきもあって、ブリ後の昭和基地はまさに白い土木現場です。

そんなことをしているうちに、あっという間に漂う夕方の気配。
極夜があけて、ほんと1日ごとに昼が長くなる。
今の日没は17時頃、すっかり普通の世界になっちゃいました。

そんな景色を眺めつつ、昼作業の締めに測器の点検をもう一個!

南極の不思議な風、ハイドロリックジャンプ

今朝、薄明の空を眺めると何やら遠くに雪煙。

太陽が出てくるころには雪煙がさらに大きくなって・・・

すっかり明るくなったころには雪煙はより高く。そして広く。
昭和基地から眺めれる南極大陸の縁に沿うように雪煙の壁が延びてきた。

この雪煙は“ハイドロリックジャンプ”って現象。

天気のいい穏やかな日には、南極大陸は内陸部でキンキンに冷えて重くなった空気が斜面を流れ下る“カタバ風”って風が常に吹いてる。

カタバ風は斜面を勢いよく流れ下るけど、斜面が終わる大陸沿岸部で失速。
この風の流れの速度が変わる場所で流れが乱れて大きく跳ね上がることがあって、これが“ハイドロリックジャンプ”。
日本語だと“跳水(ちょうすい)”って現象です。

小さなのは何回か見てたけど、ここまでハッキリしたのを見れたのは初めて。

昭和基地から見ると南極大陸は東側にあって、東風がどんどん吹き寄せてくるのに見事に吹き上がって全く届いてこない。
大陸海岸の4~5km先までは強い東風が吹いてるのに昭和基地はずっと南風でした。

しばらく眺めてたかったけど、今日の気温は-25℃で5m/sの風もセット。
とても外でぼんやり立ってる気分にはならない寒さ。

眺める代わりにタイムラプスを撮ったんでどうぞ(5s間隔×10fps、50倍速)。
大陸から流れ下るカタバ風と、巻き上がるハイドロリックジャンプの様子がよく分かります。

見たいと思ってた自然現象、またひとつゲット!

ゆるキャン△@南極

1年で最も寒い時期に向かいつつある昭和基地。
でも、建物の中は発電機の排熱を活かした暖房のおかげでだいたい20℃くらい。

あ~快適だなぁ。

でも…それで本当にいいのか?

これで南極を満喫したと胸を張って言えるのか?

否!

はるばる南極までキャンプのためにやってきた(に違いない)野クルのみんなを見習うべきである!ゆるキャン△×よりもい、エイプリルフールコラボより

というわけで。

ゆるキャン△@南極が開催決定!
勤務と天気のサイクルからずっとタイミングを計ってたけどついに決行の時がっ!!

実施は7月27日の夜。
会場は現在内装・引越し作業中の基本観測棟、屋上デッキ。
写真左の気象棟から右の基本観測棟への引越しがじわじわと進み、60次隊の越冬が終わる頃には屋上デッキは機械でいっぱいに。
まだスカスカな今しかできない、期間限定の特設キャンプ場。

21時過ぎ、満天の星空の元で先発隊が熱く決意表明!
気温は約マイナス20℃。
ゆるくない寒さを楽しむキャンプ、略してゆるキャンの開始w

まずは星空のターン。
澄みきった空気の中で輝く天の川に

大&小マゼラン雲も肉眼でハッキリ
(サボって広角のまま)

星空を楽しんでるうちにオーロラがじわじわと出て

本気を出したタイミングで記念撮影!
我ながら結構うまく撮れたんじゃないだろか♪

眺めたり、撮ったり、寝転がったり。

みんな思い思いに過ごす南極の夜。

夜が深くなると共に人は減り、残るはぼくを含むモノ好き数人。
とびっきりの夜をテントの中で過ごしました。

そして朝。
東の空に逆さまなオリオン座が昇り、細い月と太陽もそろそろ出ようかな…といった頃にキャンプはおしまい。

多少体が冷えて何度か目が覚めたけど、そのたびに空も眺めれたしまぁ問題なし。
一晩中風が弱かったのがほんとに助かった。

すぐ隣の建物には暖かいトイレ、お湯やカップラーメンの補充も簡単。
鍋を作ることもなくお手軽ゆるゆるキャンプ。
ゆるキャンの名に恥じぬお手軽っぷり。
ただし、ビールはさっさと飲み切らないと凍り始める寒さw

キャンプ後は休日日課だけどなんだかんだと仕事があって、寝不足の体にちょっと堪えたけどフル充電した気力でなんとかカバー。

やっぱ外で過ごすっていいな。

日本に帰ったらまた家族とどっか泊りに行こう。
その時は焚火したいな。

そんな想いにまったり浸る素敵な一夜でした。

南極観測隊の基本の「き」~夏隊と越冬隊~

冬至(ミッドウィンター)を過ぎ、極夜も開けて越冬生活もそろそろ後半戦に突入する60次南極地域観測隊の越冬隊。
そういえば観測隊の全体スケジュール、そして夏隊&越冬隊について書いてなかったんで今回はその話を。

日本の南極観測隊は大きく分けて2つの部隊、夏隊と越冬隊がいます。
読んで字のごとく、夏に仕事するのが夏隊。
冬を超えるのが越冬隊。

…ってだけじゃ仕方ないんでもう少し詳しく。

気温や日照時間の細かい話は昭和基地ってこんなとこ(気候編その1)で書いたけど、昭和基地の1年をざっくり図にするとこんな感じ。
比較的暖かく天気も穏やか、そして1日中明るい“夏”が1月を中心とする約2ヶ月間。
夏を挟んで短い春&秋があって、あとは長~い冬。

この短い夏を利用して“しらせ”は昭和基地に大量の物資と人員を運び、短期集中で仕事して、冬が来る前に昭和基地を離れる。
これが夏隊。
“よりもい”のキマリたち女子高生組はこの夏隊って設定でした。

一方、越冬隊は夏隊が昭和基地を離れてる間も残留。
長い冬も観測&基地機能を維持してから翌年のしらせで帰るため、昭和基地には1年ちょっといることになります。
“よりもい”の吟隊長やかなえさんといった観測隊メンバーはこの越冬組が多い描画だったなと。
60次隊だとざっくり夏70人、越冬30人って構成比になってます。

さて、この夏隊&越冬隊の流れをぼく達60次で追っていくとこんな感じ。

夏隊&越冬隊は一緒に日本を出発、12月末に昭和基地入り

冗談抜きに24時間働けますか的なノリで作業を行う夏作業。
大規模工事したり
昭和基地から遠く離れたエリアで調査したり
前次隊の59次隊から引継ぎをもらいつつ各所で作業。

夏にどんなことしてるのか興味のある人は夏隊の公式活動記録である60次隊NOW!@極地研第60次南極地域観測協力@海上自衛隊をどうぞ。
自分が何をしたのかも記録したかったけどもう半年くらい経ってしまった…。

とにかくバタバタしてるうちに短い昭和基地の夏は一瞬で過ぎ去り、2月1日には越冬交代式で基地の管理人が59次越冬隊から60次隊越冬隊に引き継ぎ。

そして60次夏隊と59次越冬隊は昭和基地を離れてく。
特に猛烈に濃い時間を共に過ごした60次夏隊の仲間との別れは涙涙でした…

今、昭和基地にいるのは60次越冬隊の31人のみ。
極夜が明けて次第に明るくなる中で様々な屋外作業が本格的に動き出そうとしてる時期です。

一方、国内では7月1日に61次隊の隊員たちが集う“隊員室”が極地研にオープン。
昭和基地の60次隊と、国内で準備する61次隊との間で様々な情報交換が行われてます。
国立極地研究所@Facebookより

まだちょっと先だけど、年末年始には61次隊が昭和基地に到着。
61次隊の夏作業、そして60次越冬から61次越冬への諸々の引継ぎが終わってから、ぼく達60次越冬隊は61次夏隊と一緒に帰国することになります。
日本に着くのはまだしばらく先の2020年3月後半の予定。

そして61次隊から62次隊へ。
こんな夏~越冬の繰り返しで日本の南極観測隊は成立してます。

この辺の観測隊の全体像を詳しく知りたかったら極地研が出してる公式解説本?なこちらがオススメ。
よりもい好きもファンブックからさらに南極観測隊そのものに興味をもったらぜひどうぞ。

経験者曰く、極夜が明けた後は時間経つのがめっちゃ早い、とのこと。
確かに越冬の間にやることがまだまだ山積みで頭が痛い…。

でも、しばらく昭和基地に引きこもってた時間が終わってこれからは基地を離れて活動することも増えてくる楽しみな時期。
引き続き頑張る&楽しんできます!

太陽、完全復活

極夜が明けたとはいえ、どんより空で実感のなかったここ数日。

しかし。

昨日16日の朝はこんな空。これは期待できる!

次第に北の空が明るくなり、11時にはいよいよ!といった雰囲気。

反対側の南の空には山影からこっそり太陽を見守るお月さま。
少し隠れるけど、今はちょうど“沈まない月”の時期。

そして11時半、ついに来た!

太陽が顔を出すと一気に世界に光があふれる。
明るいんじゃなくて、眩しい。久しぶりの感覚。

太陽が昇ったとはいえ、正中(北中)時でも太陽高度は1度未満。
このくらいで今のMAX。
昇ったというか顔を出したくらいの高さだけど存在感は抜群。

そして13時頃には早くも店じまいの準備。

14時半にゾンデ観測をする時には色濃く漂う夜の気配。

夜も快晴、月明かりがとっても明るくてヘッドライトいらず。
快晴の月夜もいいけど、前日の薄い雲がかかった月夜もなかなかいい雰囲気でした。

これからどんどん昼が長く、夜が長くなる。
振り返ってみると、極夜も意外とすんなり終わったなぁってのが素直な感想。
特に6月が極夜というかブリ強化月間だったせいかな。

夏が近づくにつれて今度は夜がどんどん短くなる。
その前にビックリするようなオーロラが見たいなぁ。

そんな平和な極夜明け。