最近すっかり放置してたこちらのブログ。冬が始まってネタはいっぱいあるのにアウトプットがまったくもって間に合いってない!冬までに冬の気象をまとめたいとか思ってた時期がありました…。反省。
さて、久しぶりの話題は雪崩に関する新しい本が出たのでその感想です。
こちら、12月1日に発売されたばっかりの『雪崩教本』
“雪崩教本”と冠するだけあって、
1章 気象、雪、雪崩の科学的な話
2章 どう雪崩の危険性と付き合うか(リスクマネジメント)
3章 雪崩に巻き込まれたどうするか(レスキュー)
といった3段構えで、雪崩に対する知識を一通り網羅する内容になってます。
著者は日本雪氷学会北海道支部を母体とする雪氷災害調査チームと、雪崩に関する知識・対策の普及啓蒙をする任意団体の雪崩事故防止研究会。
どちらも北海道に拠点を置く団体で、北海道の雪山を愛する人たちの集まり。
雪氷災害調査チームは2015年には山岳雪崩大全も刊行してます。
山岳雪崩大全は山岳大全シリーズらしくかなりの分厚さ!
内容もみっちり&結構マニアックなところもあって、雪山についてちょっと勉強してみようと軽い気持ちで最初に手を出すと挫折しかねない雰囲気を醸し出しています…。
そんな山岳雪崩大全から基礎&重要なところを抜き出してギュッと濃縮したのが今回の雪崩教本って雰囲気でした。
本の厚みは半分、お値段も半分と手を出しやすくなってるので山岳雪崩大全を手に取りかけて躊躇した人も雪崩教本ならきっといけるはず。
…とはいえ、あいかわらず結構マニアックな内容も含まれてるので、全部理解しようとはせず難しとこは流し読みでいいと思います。
ただ、全体的にいい本だな~とは思ったけど2章の雪崩リスクマネジメントのところはちょっと物足りなく感じたのが素直な感想。
雪崩について科学的な知識を持つのも大事だし、道具やレスキューも大事なんだけど、実際に雪山で行動する際に最も重要なのは『どう判断して、どう行動するか』ってとこじゃないかと。
本のボリュームの制約はあれど、もう少し詳しく記載してもよかったんじゃないかなぁ。
この辺の話は日本雪崩ネットワークが刊行した『雪崩リスク軽減の手引き』が詳しく載ってます。
『雪崩教本』で雪崩の学術的な面を知って、『雪崩リスク軽減の手引き』で山でどう雪崩と付き合うかを知る。
そんな感じで両方読むといいんじゃないかなと。
あと、雪崩教本の最初には気象の話も載ってるけど、こちらもさすがに雪崩教本の内容だけでも心許ないところ。
気象の勉強もいきなり山岳気象大全みたいな重厚系に挑むんじゃなくて、まずは広く浅く日々の気象に親しむくらいの本にしておくのがいいと思います。
一般的な気象の知識を得て、プラスアルファとして山ならではの気象を学ぶってイメージで。
2011年とちょっと古いけど、気象入門には『史上最強カラー図解 プロが教える気象・天気図のすべてがわかる本』がぼくの好み。広く浅く、かつ系統だった内容でなかなかバランスいいです。
↑の本をひと通り読んで、実際の日々の天気の感じ方が変わった上で上級編の山岳気象大全に挑んでください。
高層天気図なんかも登場して気象予報士的な視点&知識も含まれるので、最初に読むとかなりの確率で挫折する気がします…。
コメント