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基本観測棟、改造中

12月2日に気象棟から引越しして気象部門の観測業務が始まった基本観測棟。
もう本格稼働してるんだけど、実はいまも大がかりな工事中。

何をしてるかというと、61次夏隊の設営チームの大仕事のひとつである新しい放球デッキの建設工事。写真の奥に見えるのが放球棟。
風船に付けた機械で上空の気温や風を測る、ゾンデ観測の作業場所。

今まで気象部門の拠点は気象棟と放球棟って2つに分かれてたけど、基本観測棟への移転と共に放球棟の機能も集約予定。
新しいデッキが完成&設備が整えばブリ中に楽しい…じゃなくて大変な思いをして放球のために気象棟~放球棟間の移動をする必要がなくなることに。

そして基本観測棟に集約されるのは放球棟だけじゃない。

地学棟

電離層棟

そして環境科学棟

すでに移転した気象棟に加え、基本観測棟にはこれだけの建物の機能が集約される予定。

小規模&分散して管理が非効率になってる昭和基地の建物の再編計画の第一歩が気象棟の移転。
そしてこれから次々と引越し&建物の撤去が行われることに。
このタイミングに当たる担当部門の人は結構大変な目に会うだろうなと。
それまでに基本観測棟の中に散らかってる気象の荷物も片付けないと。
ってか本当に全部荷物入るんだろうか・・・

ついでに、せっかくなんで基本観測棟の中がいまどんな状態なのかも軽くご紹介。

南極昭和気象台(自称)に行きたかったら長い階段を上がって2階からどうぞ。
新築らしく玄関もとってもキレイ。
靴の泥や砂はちゃんと落としてから入ってね。

入ってすぐが共用のくつろぎスペース・・・になる予定。
今のとこ荷物置き場&諸々の作業スペースとして使っちゃってます。

奥に進んで右側が気象部門の拠点である気象観測室。
気象棟の看板や神棚もこの部屋に引越してます。

オゾン観測の代名詞、ドブソン分光高度計が鎮座するドブソン部屋もちゃんとある。

そして屋上。
冬にはまだ何もなくてオーロラキャンプの会場にもなった屋上デッキだけど、今はもう色んな測器が並んで観測中。
昭和基地をぐるっと見渡せる一等地だけど観測に影響出ちゃうから見学は階段の上部まででよろしくです。

ちなみに、今まで無線で気象情報聞いたりする時は気象棟って呼び出されたけど、新居になって何て呼ぶかはまだブレブレ。
“基本観測棟”には他の部門もいるし、“気象観測室”じゃ長ったるいし。
結局元の“気象棟”で落ち着くんじゃないかな~と思ってるけど61次で流れが決まるのかな。

気象棟が無くなって、基本観測棟がホントの完成に近づいて、これから続々と観測拠点の集約が進んで。
令和という新時代に向けて昭和基地も動いてる、ような気がする。なんとなく。

さらば南極大陸

越冬終了に向けて各種作業が目白押し。
そんな中で大変だけど楽しみにしていたのが、昭和基地を離れた大陸上にある拠点“S17”での野外オペ。

ちょうど1年前、南極に着いて初めて“南極大陸”に降り立ったのがS17。
すぐ近くのS16ってポイントと合わせて、日本の観測隊にとって大陸への玄関口みたいなところ。
今回は自分が引継ぎを貰ったように、61次隊の後任者に引継ぐためのオペレーション。

これが1年前。

そして・・・いま。(11月頭の様子)
そりゃもう見事に建物が屋根まで埋まってらっしゃる。

雪&氷の足場しかない大陸上に何かを置くと沈んだりドリフトついたりで苦労させられるのがド定番。
このS17もお約束通り見事な埋まりっぷり。
去年来た時は除雪車両の支援があったけど、今シーズンは諸々の事情でここからスタート。

そんなわけで。

しらせの屈強な戦士たちの支援を得てまずは掘る!とにかく掘る!

しらせ支援のおかげで初日の午前中でなんとか入り口確保。
3m近い雪の中、もはや完全に地下施設w

中にある機器にもアクセスできるようになって無事にメンテナンス作業実施。
しらせ支援がなかったらどんだけ時間かかったのやら。
考えるだけで恐ろしい。

ちょっと離れた場所では一緒に行った気水チームがこれまた観測機器の掘り出し中。
南極で観測データを得るってのは設置物の維持だけでもホント手間がかかります・・・

食堂&寝床となる雪上車の立ち上げなんかもやってるうちにあっという間に夜。
夜遅いしもう寝るか、と言いたいけどこんな景色を目の前にすぐ寝るのはもったいない。

深夜の夕暮れに染まる南極大陸。
ただただ美しい・・・

翌日もヘリのピックアップ時間を気にしながら雪堀り、機器のメンテ、拠点入り口の雪除け、雪上車の給油&立ち下げと慌ただしい1日。

なんとか撤収準備ができたら任務完了と61次隊2人の大陸デビューを祝って記念撮影。

迎えにくるCHヘリがまたカッコいいぜ!

ちょっと嬉しいおまけとして、さらに内陸のH68ってポイントに寄り道して別チームをピックアップ。

空から眺める南極大陸も本当に綺麗。

1年前に行ったスカーレンや、クラックに阻まれてたどり着けなかったラングホブデといった露岩域にも空からご挨拶。

ちなみに寄り道先のH68も2ヶ月に内陸旅行で必死に掘った場所w

観測機器の横に残った雪上車の跡が本当にそこに来たことを物語ってた。
ホントに内陸は雪が積もるペースがゆっくりなんだなぁ。

これで自分が南極大陸に上がってする仕事は終わり。

あとは昭和基地でいつも通りの観測をしつつ、観測データのチェック、気象棟移転に関わる資料の更新、61次への引継ぎをひたすら頑張るのみ。

色々大変だったけど本当に充実した時間だった。

南極、ありがとーー!!

そんな挨拶を(心の中で)叫んできたのが1月8日。

今は死にかけの目で必死に残務と闘ってます・・・

昭和基地で過ごすのもあと2週間。

61次隊が来た!

気象棟から基本観測棟への引越しをなんとか乗り切ってホッとしたのも束の間。
ついに越冬終盤の大イベントが発動、それは61次隊のお迎え。

60次越冬隊だけで過ごした約10ヶ月。
特殊な環境に閉ざされたムラ社会に慣れ切った31人に環境の激変が襲い掛かる!

遠くに見えるしらせから何か飛んできたと思ったら

爆音とともにCHヘリが登場!
見知らぬ物体と爆音にパニックとなり逃げ惑う60次隊…ってほどは退化してないけど、久しぶりに文明の塊に遭遇した感たっぷり。

そしてこれまた久しぶりに見る人が多い景色。

食堂にこんなに人がいるのも59次越冬隊や60次夏隊を送り出した2019年2月以来。

61次隊が来たことで昭和基地の色んなことがガラッと変わる。

まず、景色に荷物が増えた。
CHヘリに搭載して運べるコンテナ、通称スチコンの塊があちこちに。

そんな荷物の最初は“初荷”としてデコられるのがお決まり。
しらせ艦長の名を関した“竹内海運”からのプレゼント。

スカスカになってた冷蔵庫&冷凍庫にも食材を搬入。

そして食卓にひっさびさに解凍ではない生モノが登場!

千切りキャベツ、目玉焼き、ビール。

さらに… びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!
たまごかけご飯w

シャキッとしたリンゴも美味い!

こんな味だっけ、こんな食感だったっけと盛り上がる食卓。
冷凍技術のおかげで肉や魚は本当に充実してたけど、久しぶりに食べる果物のおいしさは本当に感動的でした。

あとは、共に昭和基地で過ごした60次夏隊や家族からの差入れや手紙。

日本を出発した2018年11月。
4歳だったちびすけは5歳になって順調に?やんちゃ坊主に。
生まれたばかりで寝転がるだけだった長女はトコトコと歩き回るように。

並んだ足跡アートを眺めてるとやっぱ1年って長いなぁとしみじみ思う。

他に感じたのは、すでに結構疲れて出涸らし状態の60次と、フルチャージで元気いっぱいの61次とのギャップ。
なんか61次が眩しい!
去年の今頃は自分たちもこんなに元気いっぱいだったんだろうなぁ。

閉鎖的環境の中で過ごしてた時間が長いから、自分の中でも変化に戸惑ってるとこをちょいちょい感じる。
鎖国してた日本が開国した時はこんな気分だったのかも、と思うとちょっと面白い。

そんな昭和基地の生活もあと1ヶ月弱、日本に帰るまで2ヶ月半。
つくづく奥さんには頭が上がらないなぁと思いながらのラストスパートです!

南極観測隊の基本の「き」~夏隊と越冬隊~

冬至(ミッドウィンター)を過ぎ、極夜も開けて越冬生活もそろそろ後半戦に突入する60次南極地域観測隊の越冬隊。
そういえば観測隊の全体スケジュール、そして夏隊&越冬隊について書いてなかったんで今回はその話を。

日本の南極観測隊は大きく分けて2つの部隊、夏隊と越冬隊がいます。
読んで字のごとく、夏に仕事するのが夏隊。
冬を超えるのが越冬隊。

…ってだけじゃ仕方ないんでもう少し詳しく。

気温や日照時間の細かい話は昭和基地ってこんなとこ(気候編その1)で書いたけど、昭和基地の1年をざっくり図にするとこんな感じ。
比較的暖かく天気も穏やか、そして1日中明るい“夏”が1月を中心とする約2ヶ月間。
夏を挟んで短い春&秋があって、あとは長~い冬。

この短い夏を利用して“しらせ”は昭和基地に大量の物資と人員を運び、短期集中で仕事して、冬が来る前に昭和基地を離れる。
これが夏隊。
“よりもい”のキマリたち女子高生組はこの夏隊って設定でした。

一方、越冬隊は夏隊が昭和基地を離れてる間も残留。
長い冬も観測&基地機能を維持してから翌年のしらせで帰るため、昭和基地には1年ちょっといることになります。
“よりもい”の吟隊長やかなえさんといった観測隊メンバーはこの越冬組が多い描画だったなと。
60次隊だとざっくり夏70人、越冬30人って構成比になってます。

さて、この夏隊&越冬隊の流れをぼく達60次で追っていくとこんな感じ。

夏隊&越冬隊は一緒に日本を出発、12月末に昭和基地入り

冗談抜きに24時間働けますか的なノリで作業を行う夏作業。
大規模工事したり
昭和基地から遠く離れたエリアで調査したり
前次隊の59次隊から引継ぎをもらいつつ各所で作業。

夏にどんなことしてるのか興味のある人は夏隊の公式活動記録である60次隊NOW!@極地研第60次南極地域観測協力@海上自衛隊をどうぞ。
自分が何をしたのかも記録したかったけどもう半年くらい経ってしまった…。

とにかくバタバタしてるうちに短い昭和基地の夏は一瞬で過ぎ去り、2月1日には越冬交代式で基地の管理人が59次越冬隊から60次隊越冬隊に引き継ぎ。

そして60次夏隊と59次越冬隊は昭和基地を離れてく。
特に猛烈に濃い時間を共に過ごした60次夏隊の仲間との別れは涙涙でした…

今、昭和基地にいるのは60次越冬隊の31人のみ。
極夜が明けて次第に明るくなる中で様々な屋外作業が本格的に動き出そうとしてる時期です。

一方、国内では7月1日に61次隊の隊員たちが集う“隊員室”が極地研にオープン。
昭和基地の60次隊と、国内で準備する61次隊との間で様々な情報交換が行われてます。
国立極地研究所@Facebookより

まだちょっと先だけど、年末年始には61次隊が昭和基地に到着。
61次隊の夏作業、そして60次越冬から61次越冬への諸々の引継ぎが終わってから、ぼく達60次越冬隊は61次夏隊と一緒に帰国することになります。
日本に着くのはまだしばらく先の2020年3月後半の予定。

そして61次隊から62次隊へ。
こんな夏~越冬の繰り返しで日本の南極観測隊は成立してます。

この辺の観測隊の全体像を詳しく知りたかったら極地研が出してる公式解説本?なこちらがオススメ。
よりもい好きもファンブックからさらに南極観測隊そのものに興味をもったらぜひどうぞ。

経験者曰く、極夜が明けた後は時間経つのがめっちゃ早い、とのこと。
確かに越冬の間にやることがまだまだ山積みで頭が痛い…。

でも、しばらく昭和基地に引きこもってた時間が終わってこれからは基地を離れて活動することも増えてくる楽しみな時期。
引き続き頑張る&楽しんできます!