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台風12号の憂鬱

なんとも珍しいコースをたどってる最中な平成30年の台風第12号。メモも兼ねて、なんでこんなコースになってるかゆる~く記録しときます。

主な登場人物(?)はもちろん台風12号。
そして、今回随分と脚光を浴びた気がする寒冷渦。

キャラ設定はこんな感じ

台風:熱っぽくて力は強いけど意志は弱い。他人の声(風)に流されやすい。
寒冷渦:大きな体(渦)で他人を巻き込むこと多数。周りの流れを気にせずマイペースに進む、ちょっと空気読めないやつ。偏西風にも避けられ気味。

それじゃ台風12号ができた7月25日から順番に。衛星画像は寒冷渦がわかりやすい水蒸気画像を使ってます。

7月25日 台風12号誕生
台:よっしゃ、夏満喫するぞ~!でも北西には高気圧あって進みにくいなぁ。あっ、北東になんかいやな流れがあるなぁ…。

7月26日 寒冷渦完成
寒:ありゃ、蛇行しすぎて偏西風に置いてかれてもた。しゃーない、西にでも行ってみるか。
台:(まずい、寒冷渦さんだ…こっちくる…)

7月27日 寒冷渦に見つかる
寒:おーい、12号やないか!ちょっとこっちこいや!
台:いや…ぼくこのまま北に行こうと…偏西風さん待ってるし…
寒:偏西風のやつは今いないから気にすんなって!な、こっちこいって!
台:えっと…はい…じゃあ少しだけ…

7月28日 本格的に巻き込まれる
台:あ、あのぅ…ぼくそろそろ北に向かお…
寒:こんな中途半端なとこで何いっとんや。せっかくやからもうちょっと付き合えって!な!

7月29日 泥沼
台:抜け出せないうちにこんなとこまできちゃったよぉ…
寒:ここまできたらオレらは運命共同体や!一緒に行くぞ!
台:いや、ぼくもうヘロヘロだし、長居すると迷惑かかる人いるし…
寒:そんなの気にすんなって!それよりよぉ、オレあんまり早く歩けねぇからちょっとそこで待っててくれや!
台:そ、そんなぁ(涙目)

7月30日 引き続き泥沼
台:ま、まだですか…?
寒:いま向かっとるとこやがな~。ほら、一緒におるとなんか楽しいやろ?
台:う、う~ん…

7月31日 吹っ切れてくる
寒:ふぅ、これでホンマに一緒や。仲良くしよや!
台:もうこの状況を楽しむしかないのか…?そう思ったらなんか体が軽くなってきたかも??

8月1~2日(予想) み な ぎ っ て き た !
寒:一緒も楽しいもんやろ~
台:そっすね~!あっはっは!(再発達)

こんな感じで気ままな寒冷渦に降り回される台風12号、そして台風予報。
最初はちょっと引っ張られて西よりに進むくらいだった予想が、ガッツリ巻き込まれて南下するまでになってしまいました…。

そして、台風に寒冷渦が追い付いて完全に一体化。ちょっと風変わりな台風として徐々に再発達しながらゆっくり西に進む予想。
雲の形を見ても一度ボロボロになった台風が渦としてキレイになってるのがわかるかと。

で、台風が抜けたら抜けたで再び猛暑が襲いかかる日々。
ほんと、とんでもない夏ですな…

桜咲き、雹降る春

意外と早く桜が咲いたと思ったら、その後が寒すぎてちっとも開花が進まない今シーズン。寒いと桜が長続きしていいなんて話もあるけど、ここまで寒いと花見日和も少なくて困っちゃう。ほんと、全国的にひんやりした3月下旬でした。
前3か月間の気温経過@気象庁より

それでもちゃんと春は来るわけで、気象的な春の名物のひとつが今回のテーマである『雹(ひょう)』
気象庁じゃ『積乱雲から降る直径5mm以上の氷塊(これ未満はアラレ)』って定義してるけど、降ってくる氷の塊で当たると痛いくらい大きいやつ、って認識で大体OKです。

なぜ春の名物かというと、まだ上空には冬の名残りの強い寒気が入る中、下層には春の暖かく湿った空気が入り、大気の状態が不安定になりやすいから。
夏の積乱雲も強力だけど、全体的に気温が上がりすぎてなかなか雹のまま地上まで届きにくい。
季節がさらに進んで秋になると、下層には夏の暖かく湿った空気が残る中で上空に強い寒気が入るため、また雹のシーズンになってきます。

そして今日と明日、まさに『雹日和』の匂いが。

こちら、今朝(2日9時)の水蒸気画像。リンク元で動画(6時間くらいで早く再生)するとわかりやすいけど、日本海の青矢印と大陸の赤矢印、それぞれのとこに怪しげな渦が見えるのがわかると思います。

そしてここで登場するのが高層の予想天気図。『FXFE』で500hPaの気温を見てやります。天気予報でよく「上空約5500mの~」と紹介されてる高度です。今日(2日)9時、水色がマイナス30℃、青色がマイナス33℃線。マイナス30℃線がしっかり日本にかかってて、これだけ強い寒気はこの時期としてはかなりのもの。
さっきの衛星画像に線を重ねてやるとこんな感じ。(手書きにつき多少のズレはご勘弁)

この寒気の下では大気の状態が不安定になりやすく、何かあるとすぐにバチバチと雷がなるエリア。そんな寒気の固まりがこの先どうなるかというと…。(左上から2日9時、2日21時、3日9時、3日21時の予想)

いま日本海にある寒気の固まりが今夜本州に。
さらに、いまは大陸にある寒気も明日の夜に本州にいらっしゃる予想。北側にある大気の流れから切り離され、立派な寒冷渦といった雰囲気です。

こういった上空の寒気が主役の現象はなかなか地上天気図に現れないことも多く、今夜の予想天気図だけを見ても危ない匂いを嗅ぎ取るのは至難の業。
明日夜の天気図には寒気に対応した低気圧が表現されてるけど、これはこれで影響が大きいってことを示してるんでよくない話。

とりあえず、今日明日と外で遊んでる人は天気の急変にご注意を。こんな日に頼りになるのは自分の目と耳、そして雨雲レーダー
雷や雹と聞いたら外に飛び出す悪天好きな人も風邪を引かないように気をつけてくださいw

寒気の渦×気温上昇=猛烈に不安定!

昨日の7月14日はまさに『ザ・不安定』といった感じの1日。
上空に寒気が居座る中、午前中は広く晴れて気温が上昇。
するとあちこちで積乱雲がモクモクと発達、あちこちで猛烈な雷雨になりました。

衛星画像とレーダー画像を並べてみると、いかに天気の急変っぷりがすごかったかがよく分かります。
この日、山に登ってた人は「山の行動は早いうちに」を徹底してないとかなり怖い思いをしたんじゃないかなと。

【10時】まだスッキリvis_20160714-1000rad_20160714-1000

【12時】あちこちで積乱雲発生vis_20160714-1200rad_20160714-1200

【14時】積乱雲元気いっぱい、これは怖い!vis_20160714-1400rad_20160714-1400

あっという間に積乱雲が発達していく様子は細かい時間間隔や動画で見た方がよく分かるので、ぜひひまわり8号リアルタイムWebで確認してみてください。

ちなみに、今回の不安定の原因となった「上空の寒気」は、ただの寒気とは一味違う凄いやつ。
普段よくやってくる寒気は寒気の“波”で、来たと思ったらすんなり東に抜けてきます。
不安定が顕著なのも「上空の寒気×日中の気温上昇」が成立する昼過ぎから夕方くらいまでで、夜になって地上の気温が下がってくれば大人しくなるのがよくあるパターン。

ところが今回は寒気の“波”ではなく、寒気の“渦”としてやってきました。
上空の寒気を衛星画像から見るには普段よく使う可視画像赤外画像ではなく、水蒸気画像がオススメ。
14日の水蒸気画像を見ると、日本海にクルクルっとした渦があるのがよく分かります。(動画だとベスト)
wv_20160714-1200

こういった大気の流れから切り離された“渦”は動きが遅い上、ただの“波”よりも影響力大。
14日夜から15日にかけて、各地で夜もお構いなしで激しい雨を降らせていきました。

今回みたいな上空の寒気が悪さをする日は、地上天気図だけで判断するのはちょっと困難。
上空の天気図である高層天気図で寒気の強さやタイミングを把握する必要があります。

じゃ、どうやって見るの?というのはお天気講座に整理したいなぁと思いつつ、全然進まず…。
高層天気図の使い方も含めて山に必要な気象スキルをどう整理しようかと考えてるけど、うまく考えがまとまらず。
そのうちじっくり時間をかけて整理するつもりなので、のんびりお待ちください。