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2018/6/23ー24 巻機山

今回はひっさびさに山でお泊まり♪
舞台はマッキーこと巻機山(まきはたやま、標高1967m)。
山頂近くにやたらキレイな避難小屋があると聞いてのチョイスです。初日の天気は微妙だけど、2日目はたぶん良くなると信じての1泊2日プラン。

ルートはメインルートである桜坂コースの往復で、概ね尾根沿いにえっちらおっちら登り続ける。地理院地図より

前半は樹林帯の中で展望もあんまりないけど、きれいなブナ林の中を歩く雰囲気は結構好き。(と言いつつ全然写真撮ってない)

谷沿いのルートはまだまだ通れたもんじゃありませんな…

7号目に着く頃には景色も開けて登ってきたぜ感が加速してく。(ただし、後から振り返ってみると足元は痛々しい。後述。)

もうすぐ9号目の避難小屋ってあたりで傾斜がゆるくなったけど、そこでちょっと不思議な光景。
登山道から谷を挟んで隣の斜面に突如として現れるオオシラビソの樹林帯。しかもなんかまばらな分布。多雪地だと雪の影響であるべき植生が抜けることがあるってのは知ってたけど、抜けたように見せかけて実はあるってのはなかかなか面白い。

そんな景色を楽しみつつ避難小屋に到着。
休憩してると予想通り天気は下り坂。雨は降り出しガスるしのんびり昼寝タイム。

もう今日はいいかとも思ったけど、夕方になって少し落ち着いたんで夕焼け見えたらラッキーと思いながら山頂へ。
巻機山の山頂標識は植生保護のためか、ほんとの頂点からはだいぶ離れた場所。

巻機山の西側、割引山なら夕日側の展望がいいかと思ったけど気持ち悪い雪渓が残ってたからサクッと断念。
なかなかの傾斜、そしてず~っと下の谷まで続く雪渓。雪が締まってる時に一度滑るとまず間違いなく止まらずに強制下山する羽目になるんでご注意を。こんなとこで無茶しちゃいかんです。

お目当ての夕焼けはこの程度だったけど、雨上がりの散歩も悪くない。しっとりした景色が山頂周りの池塘にぴったり。こうして1日目が終了。

予報的には日の出が拝めるかは微妙だったけど、淡い期待を胸に3時過ぎ起床。
すると…晴れてる!!

ってなわけで、時間を気にしながら山頂へ。
夏至のこの時期、日の出は4時過ぎとかなりの早さ。

彗星のようにも見える飛行機雲を見上げつつ

巻機山を過ぎて越後三山が正面に控える牛ヶ岳を目指す

朝もやの中、朝を待つ山々

そして…朝ですよー!

世界は藍から赤へ

そして赤から黄へ

さらに相棒とハロのポーズw

どんどん景色の色が変わるこの時間。
ひさしぶりに味わったけどホントに素敵だった。
なんというか、世界が生まれ変わるみたいな雰囲気。
やっぱり山で泊まるのはいいなぁ。

マッキーは人気者と聞いてたけど、なるほど納得。
景色と植生の変化が大きいから歩いてて飽きないし高山植物も豊富。首都圏からのアクセスも比較的いいし、山の行程も日帰りで十分。時間があればキレイな避難小屋で泊まりプラン。

しかもこの避難小屋。なにが凄いってトイレがバイオ式でめっちゃキレイ!!
紙に加えて使った紙を持って帰るためのビニール袋まで置いてくれてる。このトイレを汚したとあっては登山者の名折れ。正しく使って、気持ちよく協力金を入れてきましょ。
管理してる巻機友の会の人達、ほんとにありがとー!

そして最後にもうひとつ。

アクセスが良く、景観もいい巻機山。

当然登山者がいっぱい来るわけで、特に湿原性の山頂周りはかつて甚大なダメージを受けて荒廃してたらしい。

このままじゃいかん!と立ち上がり、植生の回復と保全に取り組んできたのが巻機山景観保全ボランティアーズの皆さん。

かつて巻機山どんな状態だったか、そしてどう取り組んできたか。
山を楽しむ登山者として、いい山だったな~だけで終わらずに山を支えてる人達のことを知っててもいいと思う。

巻機山に登ったことある人、これから登ろうかと思ってる人。ぜひ、時間のあるときに読んでみてください。

この辺にきれいにまとまってます。
植生破壊のメカニズム@巻機山景観保全ボランティアーズ
これまでの活動@巻機山景観保全ボランティアーズ

素敵な景色に溢れ、色んな人の山への愛が詰まった山、巻機山。ホントにいい山でした!

雪山ユーザーとなだれ注意報

那須の雪崩事故を受けての各所の動き。今回もお決まりの臭い物にはフタをしろ的な対応。予想通りとはいえ、登山者として見る限りなんとも変な方向に動いてる物が目立ちます…。

高校生を雪山から遠ざけたら確かに高校生の雪山事故は起きないかもしれない。そのかわり、正しく雪山を理解してない不完全な大学生登山者を量産することにならないか。

今本当に必要なのは、自然から離れることなんかじゃない。自然との上手な付き合い方をどう教えていくか。そして今回はなぜうまく伝えてあげれなかったを振り返ることじゃないでしょうか…。

そしてここにも見逃せない微妙な動きがひとつ。

「なだれ注意報」が発表されるなど、雪崩が発生するおそれがある場合には、住民や関係機関に伝達し迅速に注意を呼びかけることなどを求める通知を各都道府県に29日付けで出したことが報告され、再発防止策を徹底することを確認しました。

NHKニュースより

うーん…。

こういった動きはどうしようもないと諦めるとして、とりあえず個々の雪山好きの人にだけは伝えておきたい。
気象庁が発表する「なだれ注意報」について大事な2つのことを。

まず1つ。

なだれ注意報に限らず、気象庁が発表する注意報&警報が対象とするのは『人が日常的に活動するエリア』ってのが基本。スキー場を越えた先の山岳エリアのように『限られた人が活動するエリア』は対象外です。
このあたりを含めてしまうと山のまわりなんて常に強風注意報や濃霧注意報が出しっぱなしに。一般的な生活圏が対象、と表現すべきでしょうか。
街を離れ、自然のド真ん中に立ち入る登山やバックカントリーでは自分で危険性を判断するのが大前提です。

そして2つめ。

気象庁のなだれ注意報の基準は、だいたいどこの県でも
①まとまった雪が降ったとき
②雪が残ってて溶けやすいとき
の2本柱になってます。
たとえば栃木県の基準
①24時間降雪量が30cm以上
②積雪40cm以上で最高気温6度以上
の2つ。
前者が山で特に気になる降雪直後の表層雪崩、後者が融雪期の全層雪崩を意識した基準です。

そもそも雪は正確な積雪/降雪量の把握が難しい。さらには風や地形による局地性、気温や日射による変質、長時間にわたり積雪の中に潜む弱層などなど、正確に雪崩の危険性を把握するのは現地にいても難しい作業。
正直なとこ、今の気象庁の表層雪崩に対するなだれ注意報の運用は「まとまった雪が降ったらある程度の期間出す」程度のもの。まとまった雪の直後で危ないんだな、程度の参考にはなるけど、山における個々の行動判断の根拠にはなり得ません。

極論をいえば、斜面に雪がある時点で雪崩のリスクがゼロにはならない。その中でどのくらい危ないのか、どこを通ればより安全なのか、あるいは引き返すべきなのか。そういった細かな判断が必要なのが雪山です。

また、春になると峠では融雪期のなだれ注意報が長時間出続ける中で、標高の高い山ではまだまだ雪が降る季節、という状態にも。

こうした2つの理由から、雪崩事故における定番の質問(批判)である「なだれ注意報が出てたのになんで登ったか」は全くの的外れ。
よく分かってない人がトンチンカンなこと言ってるなぁと聞き流しちゃってください。

今回の事例ではビーコンを初めとした雪山装備がなかったのも問題ではあるけど、雪崩のリスク回避を徹底した講習会であればまだ納得できる話。

「目の前に一晩で積もった大量の雪という明確なリスクがあるのに、なぜ雪崩を考慮した判断&行動がとれなかったか」ってのが一番の問題です。

まだまだ高い山では冬と春の境目な季節。
GWになったって雪が降る世界です。
油断することなく、事故のない春山シーズンを楽しみましょ。

20160626筑波山

梅雨時の貴重な晴れ間ということで、6/26はお手軽登山として筑波山へ。
始めて登ったけど、麓の筑波山神社から山頂(女体山877m)までは地味に標高差600m越え。
白雲橋コース→山頂(女&男体山)→御幸が原コースとグルッと回るとそれなりに歩きがいのある山でした。
12kg超えのウェイト(2歳児♂)を背負ってたこともあり、しっかり筋肉痛に。
こんなんでテン泊できるんだろうか…。
map_tsukuba登山道@筑波山ケーブルカー&ロープウェーより

1000mにも満たない山とあって今まで登ってなかったけど、麓の筑波山神社や途中のオモシロ岩もあって意外と楽しめたのも嬉しい限り。
低山特別枠(?)で百名山に入ってるのもなるほど納得です。
山岳信仰の世界観が好きなぼくにとって、山自体が御神体&山頂に社があるのも好ポイント。
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さらに、男体山の山岳付近には筑波大学の筑波山プロジェクトによる気象観測所も。

tsukuba05tsukuba06

今みたいに高層観測や衛星データなんて無い時代、山頂での観測データは非常に貴重なもの。
今でも雨雲レーダーが設置してあるなど山は気象にとってとても大切な場所です。
山登りついでに観測所やレーダーを探してみるのも面白いですよ。

山頂の観測といったら最も有名な富士山レーダーも、富士吉田市でのんびり余生を送ってるので近くに行く機会があればぜひ。
富士山レーダードーム館@やまなし観光ネット

今でも富士山の山頂にはアメダスがあるので、富士山登山の前には寒さへの覚悟を固めるお供にどうぞ。
アメダス富士山@気象庁

20160326武尊山

ほとんど雪山で遊べなかった今シーズン。
このままでは終われない!ってことで冬納めに行ってきました。
冬山としては5年ぶりに登る武尊山(ほたかやま)2158m。
春スキーで賑わう川場スキー場のリフトを使ってのアクセスです。
map_hotaka

暖冬&3月末ってことで雪の量自体は少なかったけど、3/24~25の寒気で10~20cmくらいは積もってたおかげで景色はバッチリ!
青空と白銀の織りなす絶景を存分に味わうステキな山歩きでした♪
20160326hotaka-2
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この日は、日本海側は冬型の名残り、本州の南側は低気圧の雲が広がってたけど関東北部は狙い通り晴天域。
条件がいい日を狙ったかいがあるってもんです。
vis_20160326-1200
spas_20160326-12

移動性高気圧に覆われて好天&弱風のなか登れるのは春ならでは。
ただし、融解&凍結によるザラメ化やクラスト化した旧雪と、寒気の戻りで降る新雪の間で差が雪質の差が大きいのもこの季節の特徴。
新&旧雪の結合が露骨に悪かった上越エリアのシャルマン火打スキー場ではこんな状態に…。

武尊山の南西にあるピーク、剣が峰山の東斜面でも小さな雪崩が。
スキー場内の登山届記入コーナーには「雪崩の危険があるため巻き道禁止」と注意事項があるんで、雪がもう少し減るまで待ったほうがいいかと。
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また、雪庇のある稜線にはクラック多数。
性質の悪いことに新雪で覆われてたせいでパッと見わからないけど踏み抜いた跡がいっぱいこと。
実際、ぼくの目の前でもひとり見事にハマってました…。
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片足がハマるくらいなら笑い話で済むけど、完全に落ちたり崩壊したもんなら命に関わる話。
厳冬期よりはつい気がゆるみがちな春の雪山。
足元には十分ご注意を。

20151220日光白根山

黒岳滑落事故の話を先にしちゃったけど、12/20に今シーズン初の冬山として日光白根山に行ってきました。
冬型気圧配置が終わってから移動高気圧にどっかり覆われたベストなタイミング。
太陽に輝く木々、雪面に刻まれた複雑な紋様、青空・雪・岩の見事なコラボレーションなどなど。
ちょっと寒さに凍えつつ冬山ならではの美しさを満喫してきました。
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山も四季それぞれの良さがあるけど、冬が来るたびにやっぱり冬が好きだなぁと思わずにはいられない。
もちろんその代償として冬山特有の危険も多くあるわけだけど、自分のレベルに合った山を選んで、しっかり冬山の準備して、天気の悪い日は避けて、心身の余裕と緊張感をうまく持ち合わせて。
そんな当たり前のことをしっかりしとけば『冬山なんてとんでもない!』ってほど危ない世界でもないと思ってます。

特に天気の悪い日を避けるのと、どの山を選ぶのかは夏山以上に重要。
その選択を謝ると冗談抜きに帰ってこれなくなる世界だってのは肝に銘じとくべき。

冬山に興味はあるけど何をどうしたらいいのかわからん!な方は、とりあえず樹林帯のスノーシューツアーなんていかがでしょ。
動物の足跡を探しながらふっかふかの雪の中を歩き回る、それだけでもホントに楽しいですよ~。
色んな会社のツアーガイドあるけど、総合アウトドアメーカーのモンベルも色んなとこでやってるんで参考にどうぞ。

御嶽山体験談

去年、山好きを震撼させた御嶽山の噴火災害。(登山中の被害は“事故”というべきだと思うけど)
山頂付近で噴火に遭遇したけど無事に生還した山岳ガイド、 小川さゆりさんの講演を聞いてきました。
山岳ガイド小川さゆり氏講演会@東京都山岳連盟

「亡くなった方は運が悪かった」だけで済ませては何も教訓が残らない。
素早い判断と行動で運を手繰り寄せなきゃ生き残れない。
噴火の最中、山頂で噴煙にカメラを向け続ける登山者の姿が一番“恐ろしい”光景。
非常時にいかに緊急事態のスイッチを入れることが重要かってことを繰り返し強調してたのが印象的。

体験談は手記としてまとめられたものが長野県山岳協会のサイトに掲載されてるんで、山で遊んでる人はぜひぜひ一読をオススメします。
小川さん手記「御嶽山噴火に対する思い」@長野県山岳協会

自分自身、いざってときにすぐに行動に移せるだけの緊張感と想像力を持ち続ける努力をしなきゃなと再確認するいい機会でした。
火山を扱ってるわけじゃないけど、自然科学に携わる仕事をしてる山好きとしてはもっと火山についても勉強すべきだなとも。
細々とですが、天気だけでなく山について色々なことを学ぶお手伝いをしていきたいと思います。

ほんっとに細々とですが・・・

火山とのつきあい方

2014/9/27の御嶽山噴火から1年の昨日、日本火山学会がパンフレット「安全に火山を楽しむために」を発行しました。
パンフレット「安全に火山を楽しむために」の発行@日本火山学会

火山、噴火、予知についてシンプルにまとまったいいパンフレットだと思う。
何よりいいなと思ったのが以下のフレーズ。

『活火山への登山は火山のダイナミックな営みを感じることができる素晴らしい体験です。
こうした火山とうまくつきあうため登山の準備を整えましょう。』

危険性を含む、かけがえのない素敵な体験ってのが登山。
遊びを通して自然とつき合うことでその危険性を知る準備ができるんじゃないだろか。(もちろん遊ぶだけじゃダメで、その先に繋げるべきって意味で)

たしかモンベル創業者の辰野さんだったと思うけど、「日本人はこんなに川に囲まれて暮らしてるのに遊び方を全く知らない」ってコメントを見たことがある。
自然に対して「危ないから触るな、近づくな」から育つ無関心こそが一番危ないような…。

そんなことを日々感じつつ、自然の素晴らしさ・遊び方とその危険性について広めるような活動が少しでもできないかと思って始めたのがこのブログ。
…なのに、サボリまくりな今日この頃。
何にしても継続する難しさってのを思い知る今日この頃です(^^;)

登山のお供になる…かなぁ。『噴火速報』

御嶽山の噴火事故をきっかけに“噴火速報”ってな新しい防災情報が8/4に始まりました。
どんな情報かというと、名前の通り「○○山が噴火したよー!」って事実だけをできるだけ早く世の中に伝えるための情報です。
噴火速報はじめました@気象庁

『登山中の方や周辺にお住まいの方に、火山が噴火したことを端的にいち早く伝え、身を守る行動を取っていただくための情報』となってるけど・・・正直なところ、『登山中の方』にとって劇的に役立つ情報かはかなり怪しい。
なぜならこの情報は監視カメラや地震計、空振計といった観測データから人が判断して発表するから、どんな早くても数分はかかりそう。
(ちなみに、緊急地震速報は感知→解析→情報発表がすべて自動化されてるんで秒単位の早さです)

御嶽山から登山者が得るべき教訓は、もし噴火したらとにかく早く少しでも安全な場所へ避難!ってこと。
その判断に「誰かが危ないって言った」なんて悠長なことを挟む余裕は全くないです。
そうやって動くには、山に登るならその山が火山だって事実をしっかり認識しとくこと。
そして頭の隅っこでいいから今何かが起きたらどう行動するかって危険へのアンテナを常に張っとくことが必要かと。

山に登らないことが一番安全、なんて身も蓋も無い意見もあるけど、それを言っちゃアウトドア活動全般が危険、もっと言えば家から出ないのが一番なわけで。
火山に登ることで自然の力を体感することは決して全否定されるような行動じゃないと思ってます。
もちろんリスクを正しく認識しつつ、何か起きたときに「まさかこんなことが・・・」なんて言葉を吐かない覚悟くらいは必要になりますが。

万一何かあった時のため、そして何より、何も起こさないために事前の念入りな情報収集と登山届の作成&提出はしておきましょう!
登りたい山が火山だったら事前にこちらもチェックしてみてください。
火山登山者向けの情報提供ページ@気象庁

そして最後に、御嶽山事故からの大事な教訓をもうひとつ。
悲しいかな、今の科学技術水準では今回の御嶽山噴火のような(噴火現象としては)小規模な噴火を事前にバッチリ察知するのはなかなか難しいです。
「事前に危険情報がない=絶対安全」ではないことはどうか忘れないでください…