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気圧の尾根?谷?いいえ、鞍部です

今回のお題は天気図、そして等圧線。

書くきっかけになったのがこちらの天気図。

6月8日12時

そして、3時間後の15時

たった3時間なのに、ずいぶん雰囲気変わった気がしないでしょか?

なんで雰囲気が違うのかちょっと考えてみると、どうやら気圧の〝鞍部〟をどう表現したかによるっぽい。
そとあたりを今回説明しようかと。

たとえばこんな気圧配置を考えてみます。
南北に996hPaの低気圧、東西に1004hPaの高気圧。
天気図の等圧線は4hPaごとに書くルールなんで、これには1000hPaの等圧線を足さなきゃいけない。
さて、どう書くか。

996hPaと1004hPaの真ん中に書けばいいわけで、ここまでは迷わない。

問題はこの先。
真ん中をどう書くか。

これかな?

それともこれかな?

どっちも等圧線としては成り立つ絵で、どっちも間違っちゃない。
正解をひとつに絞るには真ん中付近に気圧の観測データが必要で、観測データが無い限りは解析者の判断しだい。
こういった気圧の谷と尾根が交差する〝鞍部〟をどう表現するかはなかなか悩ましいテーマです。

※そもそも〝鞍部〟が何か伝わらない人も多いってなコメントを見て確かにそうだよな~と。山(高気圧)と山(高気圧)を繋ぐ稜線で、その中でも低くなってるとこ。日常生活の道でいうと峠、山の中じゃコル・キレット・乗越なんて名前がついてることが多いです。

それじゃこの鞍部の悩ましさを踏まえた上で、最初にみた15時の天気図を12時に巻き戻してみます。

まず原点の15時を再確認。

まずはカムチャツカ沖の低気圧から北海道付近の低気圧にかけてのびる低圧部をカット。
東西に分けちゃう。

続いて、北海道&日本海の低気圧の西側も等圧線をカット。
日本海中央の低気圧&低圧部としてひとかたまりに。

ただ、ここで困るのが大陸の脇にいる1008hPaの高気圧。
↑でカットした等圧線も1008hPa。
どうにも収まりが悪いけど、とりあえず1008hPa同士は繋げときます。

高気圧は周囲より気圧の高いとこ。
このままじゃ大陸脇の高気圧は高気圧失格だけど、よ~く見たら1008じゃなくて1010hPaだった!
4hPaの等圧線の狭間、2hPaを書くときは点線で書く決まりだけど、今回はペイントソフトの都合上で灰色線でご勘弁。

続いて大陸内陸部、だらっとのびる低圧部に低気圧を解析。
東西にのびる低圧部をメリハリある姿に。

ここまできたらあとは微調整。
大陸の高気圧と、太平洋の高気圧の位置や張り出しを少しいじります。

さて、それじゃ12時の天気図と比べてみます。
どうでしょ??だいたい似た雰囲気になったはず。

こんな感じでちょっとした表現や解析の差が重なると全体像としてずいぶん違う印象になるのが、天気図の難しいとこであり、面白いとこ。
さらにこれを異なる担当者間で〝ならす〟のもなかなか大変。
特に普段目にする天気図は時間制限ありの〝速報解析〟なので、どうしてもその辺が目立つことも。

天気図がガラッと変わった瞬間を見つけたらどこがどう変わったのか探すのも、天気図のひとつの楽しみ方になるかもしれません。
あまり役に立たないスキルな気もするけど(^^;)

天気図好きと、夏休みの学生に。天気図資料、増やしました。

台風でドタバタする中、ひっそりと(?)気象庁公式サイトに掲載された“お知らせ”

「天気図を拡充します」に誘われてリンクを踏むと説明も何もなく、過去の天気図ってページに飛ばされます。

実はこのページが“拡充された天気図”そのもので、今回新しく公開が始まった天気図資料。この過去の天気図で何が変わったかというと大きく2つ。

①天気図が見れない空白期間を解消
②カラー版天気図の高解像度資料を追加

どうやら公式が説明する気なさそうなので、代わりにちょっと詳しく書いときます。

まず、①天気図が見れない空白期間を解消 について。
てっとり早く説明するとこの図の通り。

これまで実況&予想天気図で公開してたのは直近3日間(と予想)の天気図。
これは解析時点で利用可能なデータを使って、限られた時間の中で作るあくまでも“速報”の天気図。
後日、あとから入ってくるデータも合わせて再解析して“確定版”の天気図を作成してて、この確定版の天気図を利用した資料が1~2ヶ月後に公開される日々の天気図です。

これまで実況天気図と日々の天気図の間に“天気図を見れない隙間の期間”があって、少し前の天気図を振り返りたいときに公式サイトからは見る手段がありませんでした。
これがどんな問題を引き起こすかというと…。

8月末に小学生か中学生くらいの子からちょいちょい寄せられる問い合わせ。
「7月末から8月の天気図ってどうやって見れますか?」

夏休みの最後に慌ても仕方ないだろ…。天気は毎日こまめにやることが大事なんだぞ! な~んてオトナの声も出かけるけど、課題に天気を選べば確実に同じことをしたであろう自分自身。
そんなちょっぴりダメだけど、きっと遊びで充実してたであろう夏休みを過ごしてしまった子供たちがこれで救われるはず。

だからといって油断しないでおくれ。
そうじゃないと締切が迫らないとやる気が出ないダメなオトナになってしまうぞ。

人生の反省は置いといて、続いて②カラー版天気図の高解像度資料を追加の話。こっちは天気図好きなオトナに嬉しい話。

ちょっと前に天気図のカラー化が始まったけど、何が不満ってASASの解像度がめっちゃ低い!!
とりあえず今日の15時だとこんな感じ。(元ファイルそのままです)
png形式で100kB以下と軽いのはありがたいけど、文字は読ます気ないとしか思えない低解像度っぷり。いくらなんでももうちょっと解像度あげようよ…。
そんな想いを抱き続けてた人(中の人含む)にやっと朗報です。

過去の天気図で日を選ぶと時間ごとの天気図がズラッと表示。そしてそれぞれの天気図の下にはこんな表示。
従来のpng形式に比べて圧倒的高解像度なPDF形式とSVG形式の天気図も掲載されました。
台風がごちゃごちゃして見にくい今日の天気図でもPDF形式ならこの通り!

実況&予想天気図ページとほぼ同じタイミングで掲載されるんで細かく見たい人はこっちをどうぞ。PDF形式が約600kB、SVG形式が約1.5MBと少し重いのにはご注意を。

ちなみに、いまのとこ過去の天気図へのアクセスはトップにあったお知らせか、各種データ・資料→過去の天気図とたどる必要あり。

不親切なことに実況&予想天気図からリンクは貼られてません。
たぶんそのうち改善されると思うんでしばらくはお気に入りにでも入れて見てやってください…。

等圧線(補助線)ノススメ

明日の関東は1日中つめた~い雨の予想。どのくらい寒いかというと予想気温はこんな感じ。

平地じゃさすがに雨が濃厚だけど、標高が1000mもあればしっかり雪になりそうな低温っぷり。
これは降り終わったら近場の山へ行きたいとこだけど、天気がちゃんと回復するのは28日になってから。今回は寒さに加えて天気の崩れが長いのが特徴です。

雨が降り出してる(はずの)26日朝の予想天気図がこちら。ありゃ?雨が降るのにずいぶん低気圧が遠いなぁ… ってのが今回の天気のツボ。

今日の衛星画像を見ると、まだ九州の南にいる低気圧とは離れた本州の南にもまとまった雲域が。今の天気図からはこの雲域の存在はちょっと読み取れないけど、確かにここには何かある。

この雲域は下層のシアー(風の境界)に対応してて、まだ地味だけどこれからの天気には非常に重要な存在。
改めて26日朝の予想天気図を見てみると、関東の近くで意味ありげな等圧線の凹みが描かれてるのがわかるかと。

天気図の等圧線は4hPaごとに実線で書くのが基本で、スケールが小さかったりまだ顕在化してないと4hPa線だけでは表現できない。
でも、今ココにあるモノを伝えたいのっ!!という天気図描きの想いが溢れると2hPa間隔の破線(補助線)が登場します。
今回みたいな〝無くてもいいように見える〟補助線は、高気圧や低気圧の中心まわりにある補助線とちょっと重みが違う。

今回は、低気圧とは離れたとこにシアーがあるんだよ。これが先に雨を降らせて、そのあとに遅れて低気圧本体が来るから雨が長引くんだよ。そんなメッセージが込められた補助線だったんだろうなと。

天気図に補助線を見つけたら、なんでその補助線を描いたのか想像すると天気図の楽しみ方を広げてくれると思います。
天気図描きには「等圧線を書くんじゃない。天気図を描くんだ。」という名言?迷言?も伝わってるとか。
ぜひその熱い想いを読みとってみてください。

天気図リニューアル!

天気を考えるときに欠かせない存在である天気図。
見たことないって人はまずいないと思うけど、テレビ等で登場する簡略化される前のちゃんとした(?)天気図を見たことないって人は結構いるかも。

もちろん天気図を作ってる気象庁のウェブサイトでも公開してるんだけど、そこが今日(12/9)ちょっとリニューアルしました。
気象庁ホームページで提供する天気図の充実について

見た目的なインパクトは今まで白黒だったのをカラー化しましたってのが大きいけど、他にも大事な点が3つ。( )内はこれまでの状況

  • 天気図が過去3日分見れるようになった(1日分だけだった)
  • 予想天気図の日本周辺拡大版が登場(広~い領域で日本が小さかった)
  • 実況天気図と予想天気図が同ページ内で見やすくなった(実況と予想が別ページで流れが分かりにくかった)

天気予報を理解&考える上で重要なのはカラー化よりもこっちの方。
ここ数日の気圧配置の変化と予想がこれまでより圧倒的に見やすくなったんでせひお試しあれ。
天気図(実況・予想)@気象庁

予想天気図を理解するには、気象庁が民間予報会社向けに気圧配置と全国の悪天予想についてざっくり解説してる『短期予報解説資料』を読めば効果は抜群!
地球気@日本気象株式会社気象FAX画像@株式会社アルゴスで見ることができるんで合わせてどうぞ。
解説資料の読み方もそのうちご紹介します!
そのうち…(^^;