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涼しすぎるけど冷夏じゃない、かも?

結構暑かった7月から一転、グダグダな天気が続いてる8月の北~東日本。さすがに大きな影響出るんじゃないかってことで、気象庁から報道発表資料が出てきました。
平成29年(2017年)8月前半の北・東日本太平洋側の不順な天候及び沖縄・奄美の高温について@気象庁

いまどんな状況かは、この図がすべて。北海道から東北地方の太平洋側~関東にかけて、低温と日照の少なさが顕著です。ほんと、関東暮らしな自分も今月になってからまともに太陽を拝んでないような気が…。
夏の主役であるべき太平洋高気圧がサボってるのと、冷たい海に居座るオホーツク海高気圧から送り込まれるひんやり&しっとりな北東風が原因という解説も素直に納得できるかと。いわゆる“やませ”です。(関東地方だけで見るときは“北東気流”と表現することが多い)

でも、関東に住んでる人が「あれ?」と思いそうな資料も混じってたりします。
それはこちらのエリアごとの平均気温差。
これだけスッキリしない天気が続いといて、東日本の太平洋側では平年に比べてたった0.2℃低いだけ。
そんなバカな、もっと低いはずだ!なんて感じても不思議じゃありません。

これにはちょっと理由があって、気象庁が定義する「東日本の太平洋側」は「関東+甲信地方」ということ、そして“やませ”の特徴を知る必要があります。

“やませ”として北~北東から流れてくる冷たい空気は地上から1~2km程度の厚みしかなく、高い山は越えることができません。大きな影響が出るのは冷気がせき止められる北海道~本州の東側が中心で、特に日照時間の分布を見るとこのことがよく分かります。

ちょうど今日もそんな感じで、12時の衛星画像日照時間気温の分布がこちら。
東北地方の太平洋側から関東平野はペタッとした雲に覆われてくもり&気温低め。でも山を越えた先になる長野~山梨エリアは結構雲の隙間から日照があるし気温も高めになってます。
グズグズな関東から北アルプスに行ったら思った以上に天気が良くて幸せ~!!な人も結構いたんじゃないかなと。

「東日本の太平洋側」は「気温の低い関東」と「気温が高めの甲信」全体の平均。
このため関東の人は「もっと低いだろ~」と感じることに。逆に甲信の人は「そんなに低くないけど?」と思ってたりして。

ちなみに、気象庁が“冷夏”を判断するのは夏と定義してる6~8月全体の平均気温がどうだったか。
7月はかなり気温が高かったので冷夏と判断されるかはちょっと微妙なところ。
これだけ8月が涼しかったあとに「(平均すれば)平年並みの夏でした」と発表しようものなら問い合わせが殺到するのは目に見えてるので、担当部署の人はちょっとやりにくい思いをしてるかもしれません…。前3か月間の気温経過@気象庁より

そして、この先どうなるかもとっても気になるところ。今日発表の1ヶ月予報では、来週以降は気温が持ち直して夏の名残りくらいは楽しめるという予想。
そうなることを信じて夏らしい遊びができるのを待ちましょう!

梅雨前線がなくても梅雨?

今日(7/18)九州~東海地方が一気に梅雨明けしたということでまずは天気図衛星画像をチェック。
spas_20160718-1200vis_20160718-1200
梅雨前線は大陸~東シナ海までのみで日本付近からは姿を消し、西日本は広く好天になってます。
今日の中部山岳エリアは本当に天気がよかっただろうなと思うと羨ましいこと羨ましいこと…。
それはともかく、大陸の方に残っている梅雨前線も今後そんなに悪さをすることはなさそうということで西日本は梅雨明けになりました。

「梅雨前線がいなくなったなら関東も一緒に梅雨明けでいいじゃん」と言いたくなるけど、関東の梅雨明けはもう少しおあずけになりそう。
なぜかというと、気象庁は梅雨を「晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間」と定義してて、そこに梅雨前線は必須じゃないってのがポイント。予報用語@気象庁より
関東の週間予報を見ると、今週は曇り主体、そして気温も控えめになってます。
その理由は予想天気図の中に。

fsas48_20160720-09明後日(7/20)は日本海に高気圧が進んで関東は高気圧の南の縁に位置する形で、これは北から湿った空気が流れ込んで天気がスッキリしないことが多いパターン。
さらにこの後にはひんやり&しっとりな空気を溜め込んだオホーツク海高気圧(青矢印)が南にせり出す予想もあって、「もうしばらく曇りの日が多く現れる状態が続きそう」というわけで梅雨明けは見送りになりました。

ただし、このオホーツク海高気圧の影響は東北地方の太平洋側~関東平野が中心で、長野や山梨といった標高の高いエリアへの影響は限定的。
中部山岳エリアはこれですっかり夏シーズンといってよさそうです。
(こちらも参考⇒オホーツク海高気圧と山の天気

これからの夏の山で怖いのは、やっぱり雷。
積乱雲がいつどこで発生するのかを精度よく予想外するのは気象の専門家でも非常に難しい上、もっとボンヤリした“発生しやすさ”の判断も地上天気図だけでは厳しいのが悩ましいところ。
まずは“山の行動は早め早め”の鉄則を守ること。
特にテレビやラジオの天気予報で「上空の寒気」「大気が不安定」といったキーワードが出てくるときは、できるだけ午前で行動を完了するか、いざ雷に遭遇したときの非難場所・行動を意識するように気をつけてください。

オホーツク海高気圧と山の天気

今日の天気図の見所は台風…ではなく、オホーツク海に中心をもつ高気圧。
三陸から関東に向って高気圧の足が南にのびてます。
“オホーツク海高気圧”は春から夏にかけて現れる、その名の通りオホーツク海に中心を持つ高気圧で、特徴はひんやり&しっとり。
オホーツク海高気圧が張り出す領域は低くてペッタリした雲に覆われ、気温も上がらず、時にはシトシト雨も。
こんな天気をもたらすオホーツク海高気圧からの北~東よりの風を、東北地方では「やませ」、関東では北東気流なんて呼んだりします。

そしてもうひとつ大きな特徴が、背が低い(厚みが薄い)ということ。
関東に流れ込んでくるときのヒンヤリした空気の厚みはせいぜい2kmくらい。
関東平野の西側の山を越えることはできず、関東はヒンヤリ曇り空、長野や山梨はアツアツ好天と対照的な天気になります。
今日も見事にそんな感じ。
ame-tem_20160705-1200ame-sun_20160705-1200vis_20160705-1200日本海にある前線の雲が混じって分かりにくいけど、赤線で囲ったくらいがオホーツク海高気圧による下層雲

登山にとってこの厚さ2kmというのはなんとも微妙な数字で、関東平野周りの山の標高を見ると、武尊山2158m、谷川岳1977m、赤城山1828m、榛名山1449m、甲武信ヶ岳2475m、丹沢山1567m。
1000台半ばの山じゃまず雲の下か中だけど、武尊山や谷川岳といった2000m級だとうまくいけば雲の上に出て壮大な雲海を眺めれるかも?甲武信ヶ岳ならまず大丈夫そう。そんな感じです。

今回は北東気流が比較的厚みがありそうな上に前線の雲も混じるのであまりいい条件じゃないけど
・関東が北海道~三陸沖に中心を持つ高気圧の縁になる
・関東の天気予報は曇り&気温低め、長野や山梨の予報は晴れ&気温高め
の条件が揃う日は、登山口がモヤモヤでも雲の上に抜ける期待を胸に登ってみてください。

ちなみに、そうやって登った2015/10/23の谷川岳。
山頂は惜しくもガスの中だったけど、新潟側(土樽側)に下ると滝雲を見ることができたんでまあ納得、そんな結果でした。
spas_20151023-0920151023tanigawa-2左が関東側、右が新潟側
20151023tanigawa-1茂倉新道から振り返った谷川岳。関東側の雲が新潟側にぎりぎりあふれ出てるのがよくわかる景色。

登る日の気象条件からどんな景色が見れるか予想する、というのも山の楽しみ方のひとつかと。
プランニングの際は、登山地図と一緒に天気図もお供にどうぞ。